2012 Fiscal Year Annual Research Report
硫化水素による神経細胞保護の可能性-初代神経細胞での検討-
Project/Area Number |
23791718
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
神里 興太 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (10554454)
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Keywords | 神経細胞保護 / 硫化水素 / 対麻痺 |
Research Abstract |
対麻痺は胸部大動脈手術の重要な術後合併症であるが、術後対麻痺の病態は解明されていない。マウス脊髄神経細胞傷害モデルを用いた研究(Stroke 2011)で、虚血再灌流後に低濃度の硫化水素吸入を行うと神経細胞保護効果が得られた。しかし、硫化水素の神経保護作用についてメカニズムは不明である。今回、初代海馬神経細胞を用いて虚血再灌流後の硫化水素による神経保護作用のメカニズム解明と硫化水素による治療の可能性に関する研究を行った。 硫化ナトリウムは低濃度(10μmol/L)の場合、神経細胞死はほとんど生じないが、高濃度(100μmol/L)の場合には薬剤の添加により神経細胞死を来すことが判明した。実験結果から硫化ナトリウム添加濃度を10μmol/Lとして硫化水素による低酸素環境下における細胞保護効果についての検討を行った結果、硫化ナトリウムを添加すると低酸素環境下による神経細胞死を減少させることが示唆された。一方で、硫化ナトリウムが高濃度では、細胞死が誘発された。これは、従来の報告とは異なるものである。 本検討ではin vivoにおける組織学的検討と比較すると神経保護作用が弱く、低濃度長時間の硫化水素暴露というin vivoモデルと異なった。そのためin vivoモデルに近づけるため、新たなドナーとしてGYY4137を使用した。GYY4137では高濃度硫化水素を添加しても硫化水素による細胞死は誘発されず、細胞保護効果が示唆された。 さらに硫化水素により誘導されるタンパク質の同定をおこなうためDNAマイクロアレイにより網羅的に遺伝子発現を定量化した。アレイの結果では系統だって遺伝子の変化がおこっている事が確認できなかった。 遅発性対麻痺発症マウスモデルに対して低濃度硫化水素吸入がどのような効果を発揮しているのか、低酸素暴露初代培養神経細胞に対するGYY4137添加では確認する事ができなかった。
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Research Products
(1 results)