2011 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー型認知症患者に対する麻酔薬の安全性の確立
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23791722
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 晴子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (90534751)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 麻酔薬 / アルツハイマー / 高次脳機能 |
Research Abstract |
1. 培養神経細胞におけるGM1発現への各種麻酔薬の影響 神経細胞膜におけるGM1発現増加はAβ凝集を促進し、病態の進行に関与する可能性がある。プロポフォールとチオペンタールは神経細胞様モデル細胞 PC12 細胞において、Aβ凝集の核となるGM1の発現を低下させた。つまり、保護的な効果を持つ可能性が示唆される。また、培養ラット神経細胞においてもプロポフォールとチオペンタールはAβ凝集の核となるGM1の発現を低下させた。なお、GABAA受容体阻害薬によりこれらの作用は遮断されたため、麻酔薬の直接的効果であると判断した。2. In vitroにおけるAβ凝集への各種麻酔薬の影響 試験管内においてAβにGM1を添加することによりAβ凝集が促進するin vitroモデルを用いた。Aβの検出は、チオフラビンSを試験管内に混合し、Aβ凝集によるチオフラビンSの蛍光強度の増強により行った。プロポフォールとチオペンタールはAβ凝集を抑制した。機序は明確ではないが、実験した条件下では、プロポフォールとチオペンタールはアルツハイマー病へは保護的な効果を持つ可能性がある。3. 培養神経細胞におけるAβ凝集への各種麻酔薬の影響 2.と同様に、培養ラット神経細胞におけるAβ凝集に対する麻酔薬の影響を検討した。プロポフォールとチオペンタールはAβ凝集を抑制する傾向にあった。機序は明確ではないが、実験した条件下では、プロポフォールとチオペンタールはアルツハイマー病へは保護的な効果を持つ可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従いほぼすべての研究が遂行できているため。また、予測された結果を得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
培養ラット神経細胞におけるAβ凝集に対する麻酔薬の影響について結果を確定するための実験があと数回必要なため、研究費の繰り越しを必要とした。その他は研究計画に従い遂行していく予定である。特に技術的な問題は生じておらず、円滑な実施ができると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養ラット神経細胞におけるAβ凝集に対する麻酔薬の影響に関する実験を、繰り越しした研究費で行う。それ以外は、研究計画にのっとり研究費を使用していく予定である。
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