2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791735
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橘田 岳也 北海道大学, 大学病院, 医員 (40374441)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 前部帯状回 / 排尿障害 / ラット |
Research Abstract |
我が国は高齢化社会を迎え、それに伴い過活動膀胱・尿失禁等の排尿障害患者の罹患率が増加している。そのため、排尿メカニズムの解明は重要な課題であると考えられる。我々は排尿障害の原因として、以前より上位中枢(脳)に対する検討を行っている。現在我々が注目しているのは前部帯状回であり、この部位は血圧・心拍数の調節や意思決定などに関わっているとされる。さらに、近年のMRIを用いた排尿障害患者に対する検討において、患者の前部帯状回は健常者に比べて過剰に活動していることが報告されている。Pilot studyで示したラットを用いた直接電極を用いた実験系を進め、前部帯状回への電気刺激で排尿反射が抑制されることが、有意に再現性を持って確認された。さらに電気刺激を中止することによって基礎値まで戻ることも確認されている。この結果は、排尿障害患者の前部帯状回の活動性が増加していることは(過活動膀胱患者の頻尿状態に対する)防御的機構として働いていると考えられる。さらに、前部帯状回は解剖学的に橋排尿中枢という最終的に排尿を決定する部位へ神経線維を送る上位に位置しており、排尿反射における重要な役割を果たしていることを示唆する。現在は排尿時における前部帯状回における活動電位、神経伝達物質の測定を施行中である。本結果は、より具体的かつ間接的コントロールが容易な薬理学的アプローチの足がかりになると考えられる。前部帯状回は近い将来排尿障害治療ターゲットの1つになると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨盤神経の刺激によって引き起こされる排尿反射に対する前部帯状回の誘発電位及び神経伝達物質変化をマイクロダイアリシス法による測定を行っている。排尿反射に伴い前部帯状回の活動電位が上がることは確認できているが、神経伝達物質の有意な変化の所見は未だ得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
将来的に排尿における脳内メカニズムの解明、さらには創薬の観点から前部帯状回における神経伝達物質の変化は重要な要素となると考えられる。現時点では活動電位が増加することから何らかの神経活動が増加していることは確実であるが、未だ測定感度の問題からか、その有意な変化をとらえられていない。そのため、排尿反射を引き起こす電位の調整、前部帯状回のマイクロダイアリシスプローブの先端位置の調整等を今後施行していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
|