2012 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌のアンドロゲン非依存性獲得機序におけるインスリンシグナルの分子病態解析
Project/Area Number |
23791738
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
井上 高光 秋田大学, 医学部, 講師 (60375243)
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Keywords | インスリンシグナル / 腎癌 / メタボリックシンドローム / メトフォルミン / インスリン抵抗性 / 無病生存期間 |
Research Abstract |
前立腺癌のアンドロゲン非依存性獲得機序におけるインスリンシグナル関与の分子病態を解析する予定であったが、腎細胞癌の進展におけるメタボリックシンドロームの役割およびその改善による癌進展抑制の分子生物学的解明を主に行なっている。確立された腎細胞癌株(786-O, Caki-1, Caki-2, ACHN, RENCA)を収集し、蛋白を抽出した上でSDS-PAGEを行い、WesternでそれぞれのIRの発現を確認した。IRが最も発現しているcell lineであったRENCAについて、MMTアッセイを用いてインスリン濃度―腫瘍増殖曲線を描いたところ、RENCAで濃度依存性に細胞の増殖を確認した。多様なインスリン濃度でのRENCAのインスリンシグナルの亢進をWesternを用い証明しようとしている。Balb/c regularマウスを同カロリーの高炭水化物食群と低炭水化物食群に分け、インスリン抵抗性を糖負荷試験で、高インスリン血症を採血の上ELISAを行い証明した。このマウスの側腹部皮下にRENCAを注射し、腫瘍増殖速度の差を測定したところ、高炭水化物食群で有意差を持って腫瘍増殖が速かった。腫瘍より抽出した蛋白を用い、Western blottingでシグナル解析を行ったところ、腫瘍増殖にインスリンシグナルの亢進が関与していることが示唆された。さらにこの腫瘍増殖モデルに、メトフォルミンを投与したところ、高炭水化物食群で有意に腫瘍増殖を抑制できた。このことにより、高炭水化物食群での腫瘍増殖促進にインスリンシグナルが関与していることが裏付けられた。また腎癌の診断で腎摘除術を受けた症例について、摘出標本を抗インスリン受容体で免疫染色したところ、インスリン受容体の発現は有意に良好な無病生存期間および全生存期間と関連し、多変量解析において独立した無病生存期間の規定因子であった。
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