2011 Fiscal Year Research-status Report
ビスホスホネートによる泌尿器癌の治療感受性の増大とその分子生物学的機序の解析
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23791745
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木島 敏樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (90569500)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ビスホスホネート / 放射線療法 / 腎細胞癌 / 前立腺癌 / 膀胱癌 |
Research Abstract |
腎細胞癌株4種(A498, ACHN, Caki-1, 786-O)および正常腎細胞としてHEK293細胞を用い、STAT1発現の比較、ビスホスホネートのSTAT1抑制効果およびin vitroにおける治療増感効果を解析した。1)Western blot法により、各細胞株におけるSTAT1発現を解析した。4種の腎細胞癌細胞株はいずれもSTAT1を蛋白レベルで発現していたが、Caki-1は弱い発現のみであり、残りの3種が非常に強く発現していた。HEK293はSTAT1を発現していなかった。2)各腎細胞癌細胞株の放射線治療抵抗性をclonogenic assay法により解析した。4種の腎細胞癌株はいずれも放射線療法単独への治療抵抗性を示した。3)各腎細胞癌細胞株における、ビスホスホネート投与後のSTAT1(Westarn blot法)、STAT1 mRNA(Real time PCR法)を定量的に解析した。ビスホスホネート投与によりA498, ACHN, 786-OのSTAT1発現は蛋白レベルで抑制されたが、STAT1 mRNA発現は抑制されなかった。蛋白レベルによる修飾によりSTAT1発現が抑制されていることが示唆された。4)各腎細胞癌細胞株に対する、ビスホスホネート単独、放射線療法単独および両者併用での抗腫瘍効果を検討した。ビスホスホネート併用により、放射線療法への治療増感作用が示された(clonogenic assay法)。さらにその増感効果はSTAT1高発現株であるA498, ACHN, 786-Oにおいて認められ、弱発現株であるCaki-1では確認されなかった。5)STAT1高発現腎細胞癌株786-Oに対するSiRNAによるknock downは放射線増感効果を示し、STAT1低発現細胞株Caki-1に対するSTAT1強制発現は放射線抵抗性を増大させることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎細胞癌細胞株を利用したin vitroの研究は概ね計画通り進捗しており、これまでの一連の結果から、放射線抵抗性の強い腎細胞癌株において、STAT1が強発現していること、腎細胞癌における放射線治療抵抗性の一因としてSTAT1蛋白が関連していること、さらにビスホスホネートがSTAT1を蛋白レベルで抑制することにより放射線増感効果をもたらすことが示された。ビスホスホネートによる放射線増感効果は、骨組織内ではゾレドロン酸の臨床的投与量で十分に到達可能な薬剤濃度で認められており、臨床応用が期待される結果であった。膀胱癌および前立腺癌細胞株においても、STAT1を発現していることが確認された。これらの癌腫に対する、ビスホスホネートによるSTAT1抑制効果および放射線増感作用は24年度に解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)膀胱癌、前立腺癌細胞株における、ビスホスホネートの放射線増感効果の確認【膀胱癌癌】STAT1 高発現膀胱癌株に対するビスホスホネート単独、放射線療法単独、抗癌剤(シスプラチン、ジェムシタビン)単独、三者併用での抗腫瘍効果の検討(clonogenic assay 法、MTSassay 法、相乗効果はcombination index 法により評価)【前立腺癌】STAT1 高発現前立腺癌株に対するビスホスホネート単独、放射線療法単独、抗癌剤(ドセタキセル)単独、三者併用での抗腫瘍効果の検討(clonogenic assay 法、MTS assay 法、相乗効果はcombination index 法により評価)2)腎細胞における、ビスホスホネートの放射線増感効果のin vivoでの確認腎癌細胞株786-o にluciferase をtransfection し、生物発光可能な786-o LUC を作成する。786-o LUC cell を使用し、ヌードマウスの皮下に注入した皮下転移モデル、大腿骨へ直接注入した疑似骨転移モデルおよび尾静注による骨転移モデルを作成する。ビスホスホネート単独、放射線療法単独、および両者併用での治療効果を、IVIS (in vivoimaging system)を用いて、発光シグナルをリアルタイムに検出することにより検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に必要とされる設備は設置済みであり、本年度は設備備品の購入予定はない。消耗品費として以下の項目を予定する。一次・二次抗体各種:計 500, 000、Western blot関連試薬:計 500, 000、細胞培養容器・培地:計 300, 000、実験動物購入費用(60匹):計 300, 000、実験試薬(シスプラチン、ジェムシタビン等):計 100, 000、実験試薬(ルシフェリン):計 100, 000、免疫組織染色関連試薬:計 100, 000、(消耗品費合計:計1900, 000)この他に、国内・国外旅費 計250, 000円、研究成果投稿関連費用 200, 000円を予定している。
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