2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビスホスホネートによる泌尿器癌の治療感受性の増大とその分子生物学的機序の解析
Project/Area Number |
23791745
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木島 敏樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (90569500)
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Keywords | ビスホスホネート / 放射線治療 / 化学療法 / 泌尿器癌 |
Research Abstract |
【泌尿器癌におけるSTAT1発現の解析およびビスホスホネートによるSTAT1抑制効果】ヒト腎細胞癌4種(786-O, A498, ACHN, Caki-1)、前立腺癌細胞株2種(PC3, DU145)および膀胱癌細胞株4種(T24, 5637, UM-UC3, UM-UC14)におけるSTAT1発現を解析した。いずれの癌種もSTAT1を発現しており、かつビスホスホネート投与がSTAT1発現を抑制した。 【ビスホスホネートによるSTAT1抑制機構】ビスホスホネート投与は、各種癌細胞におけるSTAT1総蛋白およびリン酸化STAT1を共に低下させたが、STAT1 mRNAレベルには影響を与えなかった。STAT1は細胞質内に大量に非活性型として存在し、刺激伝達時にのみ一部が活性化される。ビスホスホネートによるSTAT1抑制機構は、ユビキチン化などを介した蛋白分解による細胞質内STAT1総量の低下と考えられた。これらの作用は、10-20μMという臨床的に十分達成可能な濃度で認められた。 【STAT1発現と治療抵抗性の関連】STAT1高発現株では放射線治療抵抗性が高いことが示された。さらにSTAT1のknock down系および強制発現系を用い、STAT1発現が放射線治療抵抗性と関連することが示された。 【ビスホスホネートによる治療増感作用】腎細胞癌および前立腺癌細胞株を用い、ビスホスホネート投与が放射線治療感受性を増大させることを示した。 【本研究の意義】STAT1は各種癌の治療抵抗性に深く関わる蛋白であるが、臨床応用可能なSTAT1選択的阻害剤はこれまで開発されていない。本研究は、ビスホスホネートという広く臨床応用されている薬剤が、臨床的投与量にてSTAT1を抑制しうることを示しており、放射線療法や抗癌剤の増感療法の開発、及び多くの治療抵抗性癌の治療成績向上に貢献するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)