2012 Fiscal Year Annual Research Report
伸展刺激に対する膀胱上皮細胞におけるATP放出メカニズムの解明
Project/Area Number |
23791749
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中込 宙史 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (80418714)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
膀胱上皮から放出されたATPは求心路において重要な役割を担うとされている。明確な放出メカニズムはまだ明らかではないが、ATP開口放出に関わる新しい分子・小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)が同定された。我々は、マウス膀胱において遺伝子レベル、蛋白レベルともに上皮に強く局在しまたマウス初代膀胱上皮培養細胞においてもVNUTは変わらず発現していたことを確認した。 またRNA干渉法によってVNUTの発現を抑え、伸展刺激時のATP放出が有意差をもって低下していたことより、伸展刺激時のATP放出にVNUTが大きく関与していることを証明した。さらに機械刺激を加えた時のATP含有蛍光小胞の動態を蛍光顕微鏡で視覚化することに成功した。これらの結果から、より鮮明に、よりダイナミックに伸展刺激時のATP放出のメカニズムを開口放出という視点から理解することができた。開口放出阻害剤の処置によってもATP放出が抑制されたことが示され、膀胱上皮におけるATP放出メカニズムとしてVNUT/開口放出の経路が重要な役割を担っていると考えられた。 またさらにヒト膀胱上皮にも遺伝子レベル、蛋白レベルともに上皮に強く局在していた。VNUTの発現およびVNUTmRNAの発現量と各種排尿パラメータとの関連について検討したところ、VNUTはfirst desire to void (FDV)とVNUTmRNAの発現量に負の相関が認められた。他のパラメータ(年齢、前立腺容積、IPSS、OABSS、 MDV、Qmax, PdetQmaxなど)には相関は認められなかった。VNUTに依存するATP開口放出の経路がヒト膀胱上皮に存在し、VNUTの発現量は蓄尿症状や尿路機能よりも蓄尿初期の尿意など求心性経路と関連性が示唆される結果を得た。
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Research Products
(4 results)