2012 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮癌におけるS100ファミリー蛋白発現の意義
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23791750
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉山 貴之 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70444346)
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Keywords | S1100A2 / 膀胱がん |
Research Abstract |
本研究は、癌との関わりが示唆されているS100ファミリー遺伝子と癌抑制遺伝子p53との発現様式の関連を尿路上皮癌臨床検体を用い、病理組織学的所見、臨床経過との合わせて評価を行う。また尿路上皮癌細胞株を用い薬剤などでアポトーシス誘導を行い、S100ファミリー遺伝子発現変化を確認し、S100ファミリー遺伝子の発現様式が尿路上皮癌の治療における予後規定因子・再発転移の指標となりうるか、あるいは抗悪性腫瘍剤の効果予測マーカーとなりうるかを検討することである。 腎癌組織においては明細胞型腎細胞癌では腫瘍組織で発現が減弱していることを2012年2月ASCO-GUsymposiumにて発表しているが、膀胱癌組織では同じprimer、条件でmRNA強発現を認めていることを2012年国際泌尿器科学会にて発表した。これを踏まえ、リアルタイムPCR法での相対定量を初発膀胱がん32検体に対し、ドナー3検体の正常膀胱組織をコントロールとして、S100A2,A10をTaqman assayにてmRNA発現を検討したが、25例(75%)でS100A2mRNAの過剰発現を認めた。一方、転移に関与するとも言われているS100A10mRNAは過剰発現例(正常の10倍と定義すると)はわずか1例であった。病理学的に筋層非浸潤性膀胱がん(pTaN0M0)の例においてもS100A2の低ー高発現例が混在しており、一定の傾向を認めなかった。また、17例でS100A2プロモーター領域のメチル化をCOBRA assay (combined bisulfite restriction analysis)でおこなったが、メチル化の有無と発現量との関連は不明であった。現在、詳細な臨床病理学的因子との関連性、多数例での検討とともにp53のsomatic mutationを確認作業中である。
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