2011 Fiscal Year Research-status Report
前立腺肥大症治療薬のオフターゲット効果による再燃前立腺癌の新規治療戦略
Project/Area Number |
23791751
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石井 健一朗 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90397513)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 前立腺肥大症治療薬 / ナフトピジル / オフターゲット効果 / ケミカルバイオロジー / 再燃前立腺癌 / 癌間質 / 初代培養 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト前立腺腫瘍から初代培養して得られた癌間質細胞PCaSC-8を用いて、ナフトピジルをはじめとする前立腺肥大症治療薬への反応性を検証し、さらにナフトピジルによる細胞周期阻害作用機構の解明を行った。【検討1】市販の正常ヒト前立腺ストローマ細胞PrSC(Lonza社)に対する増殖抑制作用と比較して弱いものの、ナフトピジルはPCaSC-8の細胞増殖を有意に抑制した。ナフトピジル以外に実臨床で使用される前立腺肥大症治療薬タムスロシンやシロドシンによる抑制作用は極めて弱いものであった。【検討2】PrSCをTGFβで処理すると細胞増殖が有意に抑制された。そこで、TGFβで前処理したPrSCに対してナフトピジルを作用させたところ、ナフトピジルによる増殖抑制作用は観察されなかった。アンドロゲン低感受性ヒト前立腺癌細胞に対して細胞周期阻害作用を発揮するナフトピジルは、ヒト前立腺腫瘍から初代培養して得られたPCaSC-8に対しても強い増殖抑制作用を示したため、癌間質を標的とした再燃前立腺癌の新規治療法の確立に向けた第一歩となる結果が得られた。また、TGFβにより細胞増殖を停止させた間質細胞に対してナフトピジルが増殖抑制作用を発揮しなかったため、ナフトピジルは体内において活発に増殖する癌細胞を特異的に標的とする、すなわち正常細胞への攻撃が弱く、副作用が出にくい薬剤である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト前立腺腫瘍から初代培養した癌間質においても、ナフトピジルによる増殖抑制が観察されること。さらに、ナフトピジルはTGFβにより細胞増殖を止めた間質細胞に対して増殖抑制作用を発揮できないことを見出した。ナフトピジルのオフターゲット効果を引き出す標的分子の同定については、現在、ナフトピジルをFGビーズへ固定化する準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ナフトピジルのオフターゲット効果を引き出す標的分子の同定については、ナフトピジルをFGビーズに固定化した後、前立腺癌細胞のタンパク質抽出液と混合させ、ナフトピジルと結合する癌細胞内タンパク質の精製および同定へ向けた作業を進める。また、ナフトピジルによる癌間質を標的とした再燃前立腺癌の増殖抑制については、低アンドロゲン感受性細胞株と癌間質を混合し、免疫不全マウス腎被膜下へ移植する動物実験モデルにおいてナフトピジルの作用を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vivo腫瘍形成実験で用いる免疫不全マウスの購入と、ナフトピジルと結合する癌細胞内タンパク質の精製および同定に必要な試薬等
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[Journal Article] Naftopidil, a subtype selective alpha1-adrenoceptor antagonist, suppresses human prostate tumor growth by altering interactions between tumor cells and stroma.2011
Author(s)
Hori Y, Ishii K, Kanda H, Iwamoto Y, Nishikawa K, Soga N, Kise H, Arima K, Sugimura Y.
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Journal Title
Cancer Prevention Research
Volume: 4
Pages: 87-96
Peer Reviewed
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