2011 Fiscal Year Research-status Report
CCR5/CXCR3阻害による急性および慢性腎拒絶反応の制御
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23791753
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥見 雅由 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60512978)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
MHCフルミスマッチであるDA→LEWラット腎移植モデルに、CsAを2mg/kg ×6日間投与し(低容量CsAモデル)、初期のCD4/CD8+T細胞の浸潤を抑えた上でマクロファージの浸潤のみを残すモデルの作成を試みた。低容量CsA投与により生着率は無治療群の6~7日に対し、7~10日と有意に延長した。病理組織検査では、低容量CsA投与によって無治療群で認められた血管炎が抑制され、間質の細胞浸潤や尿細管炎中心の拒絶反応像となった。免疫組織染色ではCD4/CD8+T細胞の移植腎への浸潤は、低容量CsA投与によって十分に抑制されたが、マクロファージの浸潤は徐々に増加傾向にあった。RT-PCRにてマクロファージに関連するIL-11β、IL-18およびCCL2~3は無治療群との間に鎖は認めなかった。移植腎から分離したマクロファージでは、ケモカイン受容体CCR5、CXCR3の発現が脾臓から分離したマクロファージよりも増加していた。低容量CsAモデルにCCR5、CXCR3拮抗薬 (TAK)を投与して(CsA+TAK群)、マクロファージ浸潤抑制を検討した。免疫組織染色ではCD4/CD8+T細胞はCsA+TAK群と低容量CsA群との間に差は認められず、両群とも十分に抑制された。ED-1染色ではCsA+TAK群においてマクロファージ浸潤が抑制された。また、CsA+TAK群ではRT-PCRにて、マクロファージ関連サイトカイン、ケモカインのmRNAの発現が低下していた。CsA+TAK群の生着日数は11~60日と著明な生着延長効果が認められた。以上よりDA→LEWのラット腎移植モデルにおいて、低容量CsAを投与することによって、マクロファージ優位な急性拒絶反応モデルが作成されたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DA→LEWラット腎移植モデルに、CsAを2mg/kg ×6日間投与することで(低容量CsAモデル)、初期のCD4/CD8+T細胞の浸潤を抑えた上でマクロファージの浸潤のみを残すモデルの作成の確立に成功した。このモデルを用いて、CCR5およびCXCR3拮抗薬であるTAKを投与(CsA+TAK群)することで、移植腎へのマクロファージの浸潤が抑制された。また、RT-PCRにて、マクロファージ関連サイトカイン、ケモカインのmRNAの発現が低下していることも確認した。さらに、CsA+TAK群の生着日数は11~60日と著明な生着延長効果が認められた。これらの結果は、TAKによるマクロファージ浸潤抑制により導き出さたが、本年度の研究目的をほぼ達成したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
低容量CsAモデルを用いて、TAKによるマクロファージ浸潤抑制の機序を明らかにしていく。サイトカインのみならず、TAKの阻害標的であるケモカインの発現抑制の有無を検討することで、TAKのマクロファージに及ぼす効果を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DA→LEWラット腎移植モデルにCsAを3mg/kg投与すると40~60日と著明な生着延長効果が認められるモデルが確立されている(CsA delayed rejectionモデル)。このラット腎移植CsA delayed rejectionモデルでのTAKの慢性組織障害抑制効果とAAM(AMalternatively activated macrophage )誘導を検討していく。
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