2012 Fiscal Year Annual Research Report
CCR5/CXCR3阻害による急性および慢性腎拒絶反応の制御
Project/Area Number |
23791753
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥見 雅由 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60512978)
|
Keywords | 腎移植 |
Research Abstract |
腎移植後の急性拒絶反応(AR)は依然として長期予後に影響を及ぼす重大なリスクファクターであり、ARを抑制する手段としてケモカイン受容体を阻害する方法が注目を集めている。ケモカイン受容体のうちCCR5/CXCR3の阻害がAR抑制に最も効果的であり、T細胞とマクロファージは両者とも発現している。T細胞においては移植臓器への遊走に関与していることが報告されているが、マクロファージのCCR5/CXCR3の役割については不明な点が多い。DAからLEWラットへのMHCフルミスマッチ腎移植モデルでは、移植腎は約7日以内に拒絶される。CsAを2mg/kg×6日間という低容量・短期間で投与(低容量CsAモデル)することで、生着率は7~10日(中央値9日)と軽度延長し、初期のCD4/CD8陽性細胞の浸潤を抑えた上でマクロファージの浸潤のみが残る。移植腎から分離したマクロファージでCCR5/CXCR3の発現が脾臓から分離してきたマクロファージよりも増加していた。そこで、低容量CsAモデルにCCR5/CXCR3拮抗薬(TAK)を投与して(CsA+TAK群)、マクロファージの浸潤を抑制して検討した。免疫組織染色ではCD4/CD8陽性T細胞に関しては、CsA+TAK群と低容量CsA群との間に差は認められず、両群とも十分に抑制されていた。しかし、ED-1染色ではCsA+TAK群においてマクロファージの浸潤が抑制されており、RT-PCRにてIL-1β、IL-18、CCL2、CCL4のmRNA発現が低下していた。CsA+TAK群の生着日数は11~60日(中央値38日)と著明な生着延長効果が認められた。作用機序としてT細胞の移植腎への遊走抑制効果とマクロファージの尿細管への浸潤抑制効果、活性化の抑制効果が考えられた。CCR5、CXCR3の阻害は腎移植後ARの有効な治療手段となる可能性が示唆された。
|