2011 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴うTNF-α発現量の増加と外尿道括約筋におけるアポトーシスとの関連性
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23791763
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
住野 泰弘 大分大学, 医学部, 講師 (30325716)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 再生医学 / 腹圧性尿失禁 / 外尿道括約筋 / サイトカイン / ンスリン様増殖因子-1(IGF-1) / 加齢 |
Research Abstract |
1.膣拡張による腹圧性尿失禁モデルにおける尿禁制機能の検討加齢ラットの評価に先立ち、若齢モデルにおける腹圧性尿失禁モデルの作成、尿禁制の評価を行った。尿禁制メカニズムの客観的な評価が可能なモデルとして経腟分娩モデルとして用いられる膣拡張による腹圧性尿失禁モデルラットを使用した。このラットを用いて膣拡張後の経時的な失禁圧、尿道内圧, 膀胱内圧上昇時の尿道反応の測定を行った。4,7日後に失禁圧は有意に低下したが14日後には元のレベルに改善した。またこの経時的変化に伴う各種サイトカインのmRNAレベルの発現の変化についても検討した。TNF-αなどの炎症性サイトカインは膣拡張直後にはsham群と比較して有意に上昇したものの4日目には有意な上昇は認められなかった。一方増殖因子の一つであるインスリン様増殖因子-1(IGF-1)は4日目、7日目と有意な上昇が認められ、尿禁制機能との負の相関が認められた。2.IGF-1投与による尿禁制機能の治療効果遺伝子組み換えヒトIGF-1を膣拡張1日前から7日間投与を行い膣拡張による腹圧性尿失禁の改善にどのような効果があるか検討を行った。Vehicle群、IGF-1(50,150μg/kg/day)の3群のうち、IGF-1投与群では膣拡張後4,7日目で失禁圧、尿道内圧, 膀胱内圧上昇時の尿道反応の有意な改善を認めた。またそれぞれの群の尿道組織におけるAktのリン酸化をWestern blotにて検討を行ったところIGF-1(150μg/kg/day)投与群においてAktのリン酸化の有意な亢進が認められた。(本年度研究のまとめ)IGF-1はラットにおける膣拡張による腹圧性尿失禁の改善にAktを介するシグナル伝達経路を介して寄与していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加齢ラットが十分な月齢になるまで期間を要するため、それまでに若齢ラットを用いて腹圧性尿失禁モデルラットの作成と尿禁制メカニズムの評価法について検討を行い概ね良好な結果が得られている。今後は加齢ラットを用いて検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に腹圧性尿失禁モデルラットにおける尿禁制の機能評価法を習得したため、24年度は以下の実験を予定している。1) 加齢ラットにおける尿禁制メカニズムの検討Virgin SD ratの8週齢、Retired bleeder SD ratの6カ月齢、及び12カ月齢の3群に分けてくしゃみ時における失禁圧や尿道内圧を測定する。2) 尿道や膀胱、陰部神経、後神経節(DRG)における炎症性サイトカインの発現の変化について検討する。同時に各種増殖因子や細胞外マトリクス関連因子などについても検討を行う。その後尿禁制メカニズムと相関があるサイトカインなどをターゲットとした治療法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
尿道内圧、特にくしゃみ時の尿道内圧を測定するためのMicrotip transducerや各種抗体などの試薬を購入予定。
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