2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制マイクロRNAを基点とした尿路上皮癌の新規分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
23791764
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
千代丸 剛 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60593796)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 尿路上皮癌 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
【目的】尿路上皮癌におけるmicroRNA (miRNA)の発現解析に基づき、尿路上皮癌の癌抑制機能を有するmiRNAを基点とした、miRNA-mRNAの分子ネットワークを網羅的に解析し、今後の新規治療法の開発の礎となるデータを拾得する研究である。【対象と方法】尿路上皮癌に共通して癌抑制遺伝子として機能するmiRNAsを尿路上皮癌由来細胞株(KK47、T24)に導入し、その後RNAを抽出し、miRNAの制御を受けて発現変動するタンパクコード遺伝子をマイクロアレイによる遺伝子発現解析で探索することである。【結果】splicing factor arginine/serine-rich 9 (SRSF9/SRp30c)はmiR-1の標的遺伝子、Transgelin2 (TAGLN2)、prothymosin-alpha (PTMA)、およびpurine nucleoside phosphorylase (PNP)はmiR-1およびmiR-133aに共通する標的遺伝子であることが分かった。これら標的遺伝子の臨床検体におけるmessengerRNAの発現は、正常尿路上皮と比べて尿路上皮癌で有意に上昇していた。また機能解析実験においてはこれらの標的遺伝子のノックダウンにより尿路上皮癌細胞の増殖能・浸潤能・遊走能が有意に低下することが明らかとなった。SRSF9/SRp30cはcaspase-3/7によるアポトーシス経路を抑制することが明らかになった。またmiR-218とmiR-574-3pは同様に癌抑制的miRNAであるが、尿路上皮癌におけるChromosomal Genomic Hybridization (CGH)で明らかになった4番染色体の遺伝子欠失領域にコードされ、新たなmiRNAの発現調節機序と考えられた。【結論】尿路上皮癌における複数の新たな癌抑制機序が明らかになった。
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