2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791765
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
橋本 浩平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40404678)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 前立腺神経内分泌細胞 / 神経内分泌因子 / ゲルゾリンタンパク質 / 浸潤能分析 / RNA干渉法 |
Research Abstract |
本研究は前立腺神経内分泌細胞による前立腺癌の進展機構を明らかにし、ホルモン不応性前立腺癌における予後予測・治療応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。これまでの研究から、血清添加培地下で前立腺神経内分泌癌細胞株NE-CSより分泌されたNE因子が、ヒト前立腺癌細胞株LNCaPのアクチン調性蛋白であるゲルゾリン遺伝子の発現を亢進させることがわかっている。本研究において上皮成長因子(EGF)10ng/mlを添加した無血清培地下でのNE-CS培養上清により、LNCaPにおけるゲルゾリンの発現が亢進することをリアルタイムPCRとウェスタンブロッティング法で確認した。また、LNCaPにおけるゲルゾリンを介する浸潤能の解析にはRNA干渉法(siRNA)にてゲルゾリン遺伝子をノックダウンした前立腺癌細胞株siGel-LNCaPと何も干渉しないコントロールsiRNAを導入したsiCont-LNCaPを、上室下層にマトリジェルをコーティングしたトランスウェルチャンバーを用いて比較検討した。その結果、siCont-LNCaPに比べてsiGel-LNCaPでは有意に浸潤能が低下した。さらにEGF10ng/mlを添加した無血清培地下でのNE-CS培養上清存在下において、亢進されたsiCont-LNCaPの浸潤能はsiGel-LNCaPで有意に抑制された。本研究のこれまでの結果から、EGFの刺激により前立腺神経内分泌細胞から分泌される何らかのNE因子が前立腺癌細胞におけるゲルゾリンを介する浸潤能を亢進させる可能性が示唆された。今後、その責任NE因子の同定ならびにNE因子によるLNCaPにおけるゲルゾリンが亢進する機序が判明できれば、ホルモン不応性前立腺癌に対する治療戦略の構築やその発展を予測し未然に防ぐ取り組みに寄与することができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、質量分析計を用いてEGFの刺激により前立腺神経内分泌細胞から分泌されるNE因子の同定を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、質量分析計を用いたプロテオミクス解析を遂行し、同定されたNE因子とゲルゾリンが亢進する機序を明らかにする。また前立腺神経内分泌癌アログラフトモデルNE-10を用いてvivo実験をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロテオミクス解析ならびにNE因子によるゲルゾリン亢進機序解析に必要な試薬の購入、ならびに実験動物の購入、研究発表に研究費を使用する予定である。
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