2012 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍内部環境に適応したLNCaP細胞亜株の性状解析
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23791768
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10295545)
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Keywords | LNCaP細胞 / LNCaP-F10細胞 / ビカルタミド / アンドロゲン受容体 |
Research Abstract |
前立腺癌LNCaP細胞の亜株である低pH耐性LNCaP-F10細胞について、本年度はLNCaP-F10細胞の抗癌剤感受性について解析した。 LNCaP細胞とLNCaP-F10細胞に各種抗癌剤を処理した結果、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセルはどちらの細胞にも細胞生存率の低下を引き起こし、両細胞間で作用の差は観察されなかった。一方、抗アンドロゲン剤であるビカルタミド処理は、LNCaP細胞の増殖を有意に抑制したが、LNCaP-F10細胞に対しては増殖抑制を引き起こさなかった。LNCaP-F10細胞はビカルタミドに耐性を示したことより、LNCaP-F10細胞のアンドロゲン受容体の変異の有無について調べたものの、LNCaP細胞のアンドロゲン受容体の塩基配列と同一であった。LNCaP-F10細胞のアンドロゲン感受性について、ジヒドロテストステロンによるアンドロゲン応答性遺伝子発現量、アンドロゲン応答性転写活性、細胞増殖率により評価したところ、LNCaP-F10細胞はLNCaP細胞に比べてアンドロゲン感受性が低いことを認めた。ジヒドロテストステロンにより刺激されたアンドロゲン応答性転写活性のビカルタミドによる抑制はLNCaP細胞とLNCaP-F10細胞のどちらの細胞においても観察されたが、LNCaP-F10細胞はLNCaP細胞に比べより応答性が低かった。また、ホルモンの存在下もしくは非存在下のどちらの場合においても、LNCaP-F10細胞のアンドロゲン受容体発現量はLNCaP細胞の発現量に比べ低値を示した。アンドロゲン受容体共役因子の発現量に相違は観察されなかった。以上の結果から、LNCaP-F10細胞はビカルタミドによる細胞増殖抑制作用に対し抵抗性をもつ細胞であり、LNCaP-F10細胞のビカルタミド耐性はアンドロゲン受容体の低発現が関与しているかもしれないことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「研究実績の概要」に記したように、おおむね当初の研究実施計画に沿った実験を遂行することができ、かつ、適切な実験結果を得ることができたため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画通り、平成25年度はLNCaP-F10細胞とLNCaP細胞間での発現量の異なる遺伝子の解析を行う。 当初の使用計画の通り、試薬等の購入および学会発表のための旅費への使用を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究実施計画に沿った研究実施のための試薬購入予算に補てんして使用する。
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