2012 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱における膀胱粘膜下微小循環の変化とKIT陽性間質細胞の役割
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23791769
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 泰江 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381830)
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Keywords | 過活動膀胱 / Kit |
Research Abstract |
1.モルモット正常膀胱におけるKitおよびStem Cell Factor(SCF)の発現:モルモットの膀胱において、Kit陽性間質細胞は、膀胱粘膜下層を中心に膀胱全層に発現していた。またSCFは尿路上皮を中心に発現しており、下部尿路閉塞モデルモルモットの膀胱では発現が増加していた。 2.膀胱間質細胞の超微細構造からみた過活動膀胱の発症機序の検討:正常膀胱には、紡錘形をした間質細胞の細胞質にはミトコンドリアや粗面小胞体が豊富に存在し、細胞同士が互いに連絡しあい、神経・平滑筋とも密接している像を観察した。過活動膀胱モデルの膀胱においては間質細胞が一部変形しており、これらの微細構造の変化が過活動膀胱の発症に関与すると推察された。 3.c-kit遺伝子変異動物を用いた膀胱Kit陽性間質細胞の検討:形態学的には本変異ラット膀胱の間質細胞は異常を認めなかった。また膀胱内圧測定の結果も野生型と比べて優位な差は認めなかった。しかし本変異ラットにサイクロフォスファミドを投与したところ、野生型に比べて、排尿間間隔の減少やnon-voiding contractionの頻度増加の程度が軽微であった。以上からKITは病的状態下において膀胱機能特に膀胱知覚の役割を担い、蓄尿障害時にKITシグナル伝達系の異常が関与していることが示唆された。 4.過活動膀胱モデル動物に対するKit抑制因子(グリベック)およびSCFの作用機序:グリベックは、Kitを抑制することにより、カハールの間質細胞由来の消化管間葉系腫瘍に対しても効果が確認されている。過活動膀胱モデル動物にグリベックを投与したところ、排尿圧を変化させることなく、non-voiding contractionを抑制し、排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitが間質細胞を介して過活動膀胱の発症機序に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)