2011 Fiscal Year Research-status Report
腎癌、膀胱癌に対するペプチドワクチン療法の抗腫瘍効果の解明と臨床試験
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23791781
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小原 航 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90337155)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がんワクチン療法 |
Research Abstract |
1.具体的内容手術により得られてた膀胱癌臨床検体(134症例)の未染色スライドを作成し、抗MPHOSPH1, DEPDC1抗体、抗HLAclassI抗体を用いて免疫組織学的検討を行った。その結果、全例にMPHOSPH1, DEPDC1, HLA-classIいずれも発現を認め、腫瘍のグレードやステージと発現程度に相関は認めなかった。また、筋層非浸潤性膀胱癌の術後アジュバント療法としてBCG膀胱内注入療法とHLA-A24拘束性MPHOSPH1およびDEPDC1ペプチドワクチン併用療法(医師主導第2相臨床研究)を開始した。HLAキーオープン解析の結果、HLA-A24群において膀胱内再発率の低下を認め、ペプチドワクチン療法の臨床的有効性が示唆された。なお、ペプチド投与に伴う重篤な有害事象の発生は認めなかった。2.意義本ペプチドの構成された遺伝子(MPHOSPH1おおびDEPDC1)は膀胱癌臨床検体において恒常的に発現していることが判明し、理想的な腫瘍抗原と考えられた。また、HLA-classIの発現低下は認めず、ペプチドワクチン療法の効果を減弱させる可能性は低いと考えられた。臨床研究の結果、膀胱癌術後アジュバント療法としてペプチドワクチンの有用性が期待された。3.重要性MPHOSPH1およびDEPDC1遺伝子は正常主要臓器において発現を認めず、これら遺伝子由来ペプチドは、腫瘍抗原として最適であり、臨床的有効性も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膀胱癌においては抗原の発現検討や臨床研究の進展がみられたが、腎癌においては分子標的薬の登場により、ワクチン投与症例が限られてきており同様の検討が中途となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
膀胱癌症例においては臨床的にペプチド投与症例におけるCTL解析を行う。腎癌に関しては免疫学的基礎的検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
腎癌、膀胱癌患者から分離したPBMC をぺプチドにより刺激培養したCD8 陽性T 細胞を用いてMHC Tetramer解析を行う。PE 標識化HLA-A2402/ペプチドテトラマーと反応させた後、細胞表面マーカーに対する抗体を用いた染色を加えた後洗浄し、フローサイトメトリーを行い、末梢血T 細胞中のペプチド特異的CTLを定量測定する。ワクチン投与前後のCD8陽性細胞の分画をFACSにより解析する。それぞれの抗体はナイーブT細胞(CD45RA+CD27+)、メモリーT細胞(CD45RA-CD27+)、エフェクターメモリーT細胞(CD45RA-CD27-)、エフェクターT細胞(CD45RA+CD27-)を用いる。ペプチドワクチン治療前後の患者末梢血PBMCからCD4+CD25+T細胞を分離し、治療前後での増減を確認する。
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