2012 Fiscal Year Research-status Report
腎癌、膀胱癌に対するペプチドワクチン療法の抗腫瘍効果の解明と臨床試験
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23791781
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小原 航 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90337155)
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Keywords | がんペプチドワクチン |
Research Abstract |
1.具体的内容 筋層非浸潤性膀胱癌の術後アジュバント療法として、標準治療であるBCG膀胱内注入療法と新規に開発したHLA-A24拘束性MPHOSPH1およびDEPDC1ペプチドワクチン併用療法(医師主導第2相臨床研究)を実施した。HLAキーオープン解析の結果、HLA-A24群かつ注射部位反応を有する群において膀胱内再発率の低下を認め、ペプチドワクチンの臨床的有効性が示唆された。なお、ELISPOT解析による、ペプチド投与に伴うペプチド特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)の誘導は約80%と高率に認められた。 2.意義 新規に開発したペプチドを用いた臨床研究の結果、膀胱癌術後アジュバント療法としてペプチドワクチンにより膀胱内再発を抑制する可能性が期待された。その再発抑制にはペプチド特異的CTLの誘導が推測された。 3.重要性 新規に開発したペプチドは、腫瘍抗原として最適であり、ヒトに対して投与することの安全性が担保され、ペプチド特異的CTLの誘導と臨床的有効性(再発予防効果)が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱癌においては抗原の発現検討や臨床研究の進展がみられたが、腎癌においては臨床的に多種の分子標的薬の保険適応により、ペプチドワクチン治療の位置づけが限られてきており、基礎的検討を含め臨床的検討が中途となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.臨床研究にエントリーされた膀胱癌患者から分離したPBMC からmRNAを抽出しcDNA合成を行う。得られたcDNAを用いて、T cell receptorのシークエンスを行い変異や多型の頻度を解析し、ペプチド特異的CTL誘導との相関を検討する。 2.腎癌に関しては、各種抗原の発現を免疫組織学的検討により行い、マルチペプチド投与の可能性について検討する。 3.各種国際学会等で発表し、論文の作成を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.腎癌および膀胱癌症例の末梢血より分離されたPBMCから、ぺプチドにより刺激培養したCD8 陽性T 細胞を同定し、MHC Tetramer解析を行う。PE 標識化HLA-A2402/ペプチドテトラマーと反応させた後、細胞表面マーカーに対する抗体を用いた染色を加えた後洗浄し、フローサイトメトリーを行い、末梢血T 細胞中のペプチド特異的CTLを定量測定する。 2.臨床研究に関する検査費用(HLA genotype、PBMC抽出、CTL解析等)
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