2011 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌に特異的に発現する分子を用いた新規尿バイオマーカーの確立
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23791782
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高田 亮 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00438467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / バイオマーカー / 尿 |
Research Abstract |
近年増加傾向にある膀胱癌の新たな診断ツールとして、新規尿バイオマーカーの確立を目的に研究をおこなった。具体的には、われわれが、膀胱癌の網羅的遺伝子解析により、膀胱癌で特異的に発現を有する事が明らかとなったMPHOSPH1とDEPDC1について、リアルタイムPCR法を用いて発現定量解析をおこなった。本年度は、本学および関連病院において、膀胱癌(尿路上皮癌)と診断された非浸潤性膀胱癌30例、浸潤性膀胱癌10例を目標に尿検体を収集。-80℃で保存された尿沈渣より、RNA抽出試薬を用いてRNAを抽出しランダムプライマーを用いた逆転写反応により、各症例のcDNAを作成した。次いでMPHOSPH1およびDEPDC1特異的なプライマー・プローブセットを各3カ所作成し、増幅効率を検討。最も効率の良いセットを各遺伝子1つ選択し、臨床検体および正常コントロール(健常人10人より尿を採取)の発現をStandard curve法をもちいて定量した。その結果、2遺伝子ともに担癌患者において正常検体に比べ発現亢進している傾向が認められたが、症例によるばらつきが大きく、統計学的有意差を認めるまでは至らなかった。その原因の一つとして、各症例の尿沈渣を確認すると、特に担癌患者において白血球の混入を多く認めており、ハウスキーピング遺伝子のによる補正に影響している可能性が示唆された。一方で、非浸潤性膀胱癌と浸潤性膀胱癌間の発現比較をおこなったところ、筋層浸潤性膀胱癌症例群において、有意にその発現上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来発現を認めないはずの健常尿検体においても、予想以上の発現が見られた。また、癌患者においても、膿尿の程度によってその発現量にばらつきが見られる傾向が観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
検討を進めるにあたり、さらに40症例の尿検体を収集し、解析を進める。尿中の白血球などの細胞混入によってハウスキーピング遺伝子の絶対量が変化し、結果に影響している可能性が示唆された。そこで、白血球特異的に発現している遺伝子による発現補正や、核酸レベルではなく蛋白レベルでの発現を確認することによって問題が確認できないか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収集症例の核酸や蛋白の抽出のための試薬購入をおこなう。また、白血球特異発現遺伝子のプライマー・プローブセットを購入する。また、蛋白発現解析のために2遺伝子の抗体を購入する。旅費については、国内外の泌尿器癌関連学会に出席し、情報収集をおこなうと共に本研究課題の発表をおこなう。
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Research Products
(2 results)