2012 Fiscal Year Annual Research Report
バフィロマイシンを用いた表在性・浸潤性膀胱癌細胞に対する治療戦略の確立
Project/Area Number |
23791784
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉峰 俊輔 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70445245)
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Keywords | バフィロマイシン / 尿路上皮癌 / アポトーシス / 予後因子 / 動物モデル |
Research Abstract |
膀胱癌細胞株に対するin vitroにおけるBMA(バフィロマイシン)と各種抗癌剤併用による詳細なアポトーシス関連蛋白の検討を行った結果、BMAによる膀胱癌細胞株の抗腫瘍効果を認め、アポトーシス関連蛋白であるBcl-xLの用量依存性の発現の低下を認めた。 膀胱癌細胞株であるUMUC-3細胞を使用し、膀胱癌のマウス皮下腫瘍モデルを作成し、BMAの腹腔内注入による抗腫瘍効果を測定した。この結果、BMAの投与に伴い、有意に腫瘍増殖抑制効果を認めた。これらの結果、BMAの抗腫瘍薬としての新たな見地を膀胱癌細胞株において得ることができた。具体的には、BMA 1mg/kgを週2回投与にてマウス皮下腫瘍モデルにおいてBAM投与群でコントロール群と比較し、有意に抗腫瘍効果を認めた。なおかつ正常細胞への影響は認めなかった。摘出した膀胱癌皮下腫瘍検体を用い、in vivoにおけるアポトーシス誘導の有無を検討した結果、in vitroと同様に免疫組織学的にアポトーシスの誘導を確認することができた。 また、上記方法で得られた知見により、表在性、浸潤性尿路上皮癌の臨床検体(上部尿路上皮癌)を用いて免疫組織学的検討と臨床経過のプロファイルを統合させ、上部尿路上皮癌患者での予後因子に結びつく蛋白の解明と、臨床応用への可能性を検討した。この結果、アポトーシス関連蛋白であるBcl-xLの発現がより悪性度の高い、またより予後の悪い患者群において有意に高発現していることが確認できた。したがってBMA自体はこのアポトーシス関連蛋白であるBcl-xLに作用し機能障害を引き起こすことが報告されているため尿路上皮癌患者での新たな抗腫瘍薬としての可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)