2011 Fiscal Year Research-status Report
PTEN遺伝子導入による膀胱癌の浸潤転移予防についての同所性モデルを用いた検討
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23791786
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 一宏 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (80366153)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / PTEN / マウス膀胱癌同所性モデル |
Research Abstract |
今回われわれは、リポソーム法を用いたPTEN遺伝子導入による筋層非浸潤性膀胱癌の筋層浸潤予防、および転移予防についての同所性膀胱癌モデルを用いた検討を行っている。当教室にて長年にわたり確立維持されてきたマウス膀胱癌同所性モデルを使用し、PTENプラズミドを膀胱内注入により導入する遺伝子注入療法の確立および治療効果の検討が本研究の主たる目的である。まずIn vitroにてマウス膀胱癌細胞株MBT-2variant細胞にリポソーム法にてLacZプラズミド導入を行い、X-gal染色にてプラズミドの効率的な導入を確認した。この際様々なリポソーム製剤を使用し、最も導入効率の良い製剤を同定した。またこの導入法を確立することにより、細胞毒性の無いリポソーム濃度での(10ug/5x10 5乗 MBT2variant cells)効率的な遺伝子導入が可能となった。また同様にPTENプラズミド導入も行い、Western blot法にてMBT-2variant細胞内でのPTEN蛋白の発現の持続も確認された(導入後3日目まで確認済)。全身麻酔下にC3H/HeNマウスの膀胱内へMBT-2variant細胞(5×10 5乗 cells)を注入し2時間尿道を結紮することにより、マウス膀胱癌同所性モデルを作成した。本手技の確立により、腫瘍の生着率はほぼ100%となった。膀胱内に播種された細胞は5日目には腫瘍巣を形成していることが顕微鏡下にて確認された。腫瘍は徐々に増大し、23日目頃に膀胱内を占拠、水腎症を来たし、マウスは癌死することがわかった。In situでの膀胱内へのLacZプラズミド導入では、特に腫瘍巣に強いX-gal染色を認め、効率的な遺伝子導入が in situでも行われていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初使用していたリポソーム製剤によるPTENプラズミドの導入効率が、予想以上に低かったことが第一の問題であった。そこで本手技を確立するため、種々のリポソーム製剤をその各濃度別に使用し、その導入効率を比較し、最も適切な製剤および濃度を選ぶ必要があったため時間を要した。またマウス膀胱癌同所性モデルを作成するに際し、腫瘍の生着率が予想以上に低かったことが第二の問題であった。そこでMBT-2variant細胞の各濃度別にモデル作成を行って、最適な細胞濃度を確定する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)PTENプラズミドを用いたリポソーム法による膀胱内遺伝子導入およびタンパク発現の確認(治療プロトコールの作成)。 PTENリポプレックス懸濁液を注入してからそれぞれ1,3,7,17日目に膀胱を摘出してreal-time PCRおよびWestern blotを行いPTENの遺伝子の導入効率およびPTEN発現の確認を定量的に行う。これらの結果を基に、もっともPTEN発現に優れている投与間隔や回数の治療プロトコールを作成する。(2)MBT-2variant同所性膀胱腫瘍モデルを用いたPTEN遺伝子治療の検討 治療後の膀胱を摘出し膀胱局所の腫瘍の重量を測定、また転移の有無(特にリンパ節、肺転移)もあわせて調べる。摘出した膀胱はDNAを抽出した後real-time PCR法を行いPTENの遺伝子の確認を定量的に行う。細胞周期(p53、p21、p27、RB)、血管新生(CD-34、VEGF、basic FGF、angiostatin、endostatin、thrombospondin-1)、アポトーシス(Bcl-2、Bcl-xL、Bad、Bax、IAP)蛋白の検出を免疫染色法にて確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験が主体となるためほとんどが消耗品費となる。具体的にはマウスC3H/HeNとその飼育費、PTENプラズミドとコントロールLacZプラスミドおよびそのプラスミド増幅費、リポソーム遺伝子導入キット購入費、PCR抽出用試薬、各種抗体購入費、免疫染色試薬購入費である。
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