2011 Fiscal Year Research-status Report
シスチン尿症を発症するAMSH-LPノックアウトマウスの解析
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23791797
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
櫻田 祐 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 共同研究員 (70531325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脱ユビキチン / AMSH-LP / 尿路結石 / 水腎症 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
シスチン尿症は、常染色体劣性遺伝であり、腎尿細管におけるシスチンの再吸収異常により尿中のシスチン濃度が上昇し、尿中排泄が増加する結果、尿路内にシスチン結石の形成を来す。シスチン尿症は、二塩基性アミノ酸輸送システムの先天的な欠損による疾患である。近年、塩基性アミノ酸輸送担体遺伝子(rBAT/SLC3A1) の異常がシスチン尿症の原因であることが報告された。また、rBAT とヘテロ二量体を形成しするB(0,+)AT/ SLC7A9 も原因遺伝子として同定されている。我々のグループは以前に、脱ユビキチン化酵素であるAMSH-LPを単離した。その後、AMSH-LP はLys63 のユビキチン鎖を切断することがin vitroで判明したが、何をターゲットとして脱ユビキチン化を行うのか、どの臓器で主要な役割を果たすのか等、生体内での機能は全く不明のままであった。我々は、AMSH-LP の生体内における作用を解析するために、AMSH-LP コンディショナルノックアウトマウスを作成した。全身でノックアウトを誘導したところ、意外なことに生後1 年ほど経過したノックアウトマウスが水腎症を発生することを見いだした。我々は、AMSH-LP の生体内における作用を解析するために、AMSH-LP コンディショナルノックアウトマウスを作成した。全身マウスのCT 画像所見でノックアウトを誘導したところ、意外なことに生後1年ほど経過したノックアウトマウスが水腎症を発生することを見いだした。解剖の結果、水腎症マウスはいずれも尿路結石を伴っており、結石成分分析の結果シスチンが95%以上であった。尿中アミノ酸を定量したところ、cystine, ornithine, lysine, arginineの濃度が明瞭に上昇しており、ヒトにおけるシスチン尿症に一致する表現型であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災により、マウス実験棟も大きな被害をうけ、再交配せざるをえなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
AMSH-LPがアミノ酸トランスボーターの輸送を制御するという仮説をノックアウトマウスおよび細胞株を用いて検証する。さらに、シスチン尿症患者における AMSH-LP の遺伝子変異を検索し、シスチン尿症を引き起こす新規責任遺伝子であることを証明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養と遺伝子導入、ノックアウトマウスの解析を中心として分子生物学的、病理学的手法を駆使するので、研究費の大半を薬品、細胞培養用器具、マウスなどの消耗品として使用する。
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