2012 Fiscal Year Research-status Report
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23791804
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 健郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (40531330)
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Keywords | エピジェネティクス / 卵巣がん / MAT2A |
Research Abstract |
卵巣癌の発癌機構の解明は、遺伝子診断や分子標的治療の開発に繋がる重要な側面を有する。これまでに卵巣癌のがん化過程には、癌遺伝子や癌抑制遺伝子のエピジェネティクス異常が数多く報告されている。申請者は平成23年度に、メチル基供与体の合成酵素遺伝子MAT2Aが卵巣癌細胞株の増殖に必要であることを、RNAiおよび阻害剤を用いて明らかとした。また癌抑制遺伝子RB1のDNAメチル化制御にMAT2Aが関与することを示唆するデータを得た。 本年度は摘出卵巣癌組織を用いてMAT2Aおよびターゲット遺伝子RB1の発現を解析し、卵巣細胞株と同様の遺伝子発現変動が、臨床検体においても見られるかを検証した。MAT2Aの発現増加は卵巣癌の臨床検体のほぼ全例で観察された。さらに、卵巣癌の進行に伴ってMAT2Aの発現量が有意に増加していることが明らかとなった。一方でRB1の発現は卵巣癌で減少しており、一部の検体でDNAのメチル化異常、遺伝子欠損、および遺伝子変異が見られることを確認した。また、MAT2Aの発現増加およびRB1の発現減少は正常組織ではほんと観察されなかった。 以上の結果より、in vitroと同様にin vivoにおいても、MAT2A遺伝子の過剰発現がRB1遺伝子のプロモーター領域のメチル化異常を引き起こし、癌化を促進する可能性が示唆された。またMAT2Aの発現量が卵巣癌の悪性度を解析するための新規バイオマーカーとなりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、摘出卵巣癌組織を用いてMAT2Aのターゲット遺伝子の発現を解析し、卵巣細胞株と同様の遺伝子発現変動が、臨床検体においても見られることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は卵巣癌細胞株のヌードマウスへの移植実験およびMAT2Aの阻害剤投与実験を行うことで、MAT2A阻害剤の臨床応用への可能性を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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