2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791807
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池田 禎智 群馬大学, 医学部, 助教 (60568252)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 卵巣 / ゴナドトロピン / 脂質代謝 / 機能調節 |
Research Abstract |
本研究では卵巣の機能調節と脂質代謝の関連を探ること目的とし、ゴナドトロピン受容体であるLH受容体とコレステロール生合成に関わる酵素であるMevalonate kinase (Mvk)に着目し検証を行うこととした。顆粒膜細胞が卵巣における卵胞発育や排卵などの生殖機能において主要な役割を担っているため、はじめにラット卵巣より顆粒膜細胞を抽出し初代培養系を作成した。この細胞培養系を用いてLH受容体のmRNA発現をNorthern blot、定量的RT-PCRなどにて解析し、FSHによりLH受容体発現が促されエストロゲンとの共存下において相乗的にその発現が増加することを確認した。またこの発現増加はmRNAの安定化によりもたらされており、顆粒膜細胞におけるLH受容体発現にはFSHとエストロゲンが重要であることが理解された。続いて卵巣におけるMvkの存在を確認するため、作製した細胞培養系を用いてMvk mRNAの発現を解析した。LH受容体はFSHとエストロゲンの共存下でその発現が増加する一方で、Mvkは発現が低下することが判明した。MvkがLH受容体の発現を抑制すると推測し、細胞培養系においてMvkを過剰発現させるべくMvk遺伝子をクローニングし細胞内に導入した。この系を用いてLH受容体の発現を比較したところ、Mvk過剰発現によりエストロゲンによるLH受容体発現増加が抑制されることを確認した。また子宮におけるLH受容体の発現を検討し、幼若ラットにhCGを投与するとLH受容体 mRNAの減少が認められた。変化に要する時間経過は長いがdown regulation後にLH受容体mRNA量が増加することも卵巣と同様であった。この時Mvkを定量的RT-PCRで測定するとhCG投与後に一時的に上昇しており、子宮におけるLH受容体mRNAの減少にもMvkが関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では主に幼弱ラットの卵巣およびそこから採取した顆粒膜細胞の初代培養系を用いて種々の解析を行っている。初代培養系を使用するため、解析を行うごとにラット卵巣から顆粒膜細胞を抽出し培養系を作成する必要がある。細胞培養系を作成した上で解析を開始するため研究に時間を要する。また一度に作製できる安定した細胞培養系に量的限度があることも解析の進行に時間を要している一因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
安定した顆粒膜細胞培養系を効率よく作成するための技術を高めていくほか、一度に作製した培養系からより多くの解析結果が得られるような研究手法を検討していく。また細胞培養系から得られた解析結果をもとに、生体を用いた検討や外的要因による変化などについても研究を進めていく。子宮内膜でのLH受容体の発現はラットおよびヒトで共に子宮内膜に確認できたので、今後はヒト子宮内膜の培養系を確立して、Mvkの発現様式をヒト子宮内膜でも検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
卵巣機能と脂質代謝との関連を調べるために、顆粒膜細胞におけるLH受容体やMvkの発現に対するコレステロールや抗高脂血症薬の影響について検討する。またMvkの発現調節機序を解明するため、ラットMvk mRNAのプロモーター領域をクローニングしシークエンス解析やリポーターアッセイなどにより検討する。またヒト卵巣におけるMvkとゴナドトロピン受容体の関連についても検証を試みる。充分な説明の上で検体採取の同意が得られた体外受精患者の協力のもと、卵細胞採取の際に副次的に得られる顆粒膜細胞を用いて研究を行う。得られた顆粒膜細胞におけるゴナドトロピン受容体やMvkなどの発現について解析を行い、検体の提供を頂いた患者背景やその卵の状態および受精や着床の状況などを比較し検討する。研究費はこれらの実験において必要となる実験機器や試薬などの消耗品の購入に使用する。
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