2012 Fiscal Year Annual Research Report
慢性炎症性疾患としての子宮内膜症における小胞体ストレスの意義
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23791813
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 亜希子 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (50598159)
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Keywords | 子宮内膜症 / 慢性炎症 |
Research Abstract |
子宮内膜症組織にはTh2細胞が多く存在し子宮内膜症間質細胞(以下ESC)はIL-4にて増殖する。さらに慢性炎症を惹起するPGE2はESCにおいてaromataseの発現を誘導しエストロゲン産生を増加させ子宮内膜症の増悪に関与する。我々はマイクロアレイ分析にてESCへのIL-4を添加で3β-hydroxysteroid dehydrogenase(以下HSD3B)の発現増加を確認した。HSD3Bはコレステロール→DHEA→androstenedione(以下A)→estrone(以下E)→estradiolの系においてDHEA→Aに作用する酵素でESCにおけるエストロゲン産生経路で重要な役割を果たしている。HSD3Bにtypeとtype2(以下HSD3B2)が存在しHSD3B2は子宮内膜間質細胞には発現せずESCのみに発現する。 今回我々はESCにおけるHSD3B2発現に及ぼすIL4 とPGE2の影響を検討した。まず、ESCにIL-4を添加するとHSD3B2の発現が増加しさらにPGE2添加にて相乗的に増加した。次にESCとIL-4、PGE2に加え、基質であるDHEAおよびAを添加しEの産生を検討した。DHEAにIL-4およびPGE2を添加すると相乗的にEの産生が増加した。さらにCP-690550(JAK阻害剤)添加にてEの産生が抑制されIL-4はJAK経路を介してHSD3B2発現を上昇させることが示された。 以上よりESCにおいてIL-4とPGE2の相乗効果にてJAK経路を介してHSD3B2の発現が増加しエストロゲン産生が増加すること、これにより子宮内膜症細胞が増殖し病態が進行することが示された。これらの結果よりTh2系の免疫作用と慢性炎症が相乗的に作用して子宮内膜症を増悪させることが示された。またCP-690550はこの系を阻害し子宮内膜症治療薬としての可能性が示された。
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Research Products
(15 results)