2012 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群とオートファジー―新視点から絨毛外栄養膜細胞浸潤不全を解明する
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23791817
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 彰俊 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (00436792)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / オートファジー / トロホブラスト |
Research Abstract |
可溶型エンドリン(sEndoglin)は抗血管新生作用をもつことが知られているが、sEndoglin存在下の共培養によりEVTセルライン2種類においてオートファジーが抑制されることが分かった。さらに、低酸素刺激によって活性化するEVT浸潤が、sEndoglin下には抑制されることが分かった。また、その結果、EVTの胎盤形成に必須の機能である浸潤能および血管内皮置換能に障害を及ぼすことが分かり、sEndoglinによるオートファジー抑制が胎盤形成不全の一因になりうることを明らかにした。また、p62はオートファジー欠損株において蓄積を示すが、妊娠高血圧症候群(PE)におけるEVT細胞においてp62の蓄積を認めることを初めて明らかとした(一方、正常妊娠ではp62蓄積が有意に抑制される)。このことから、sEndoglinによるEVTのオートファジー抑制は、胎盤形成不全の一因になることが示された。 また、PE胎盤は低酸素ストレスに曝露されていることが知られている。そこで、オートファジー抑制状態にあるEVTに、Hypoxia inducible factor-1を強発現させると、浸潤能が強く抑制されるという結果も明らかにできた。このことは、EVTにおけるオートファジー抑制と強い低酸素状態が、協調的にPE病態悪化に関与することを示していると考えられ、新規治療法という観点から更なる研究を進める予定である。
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