2011 Fiscal Year Research-status Report
エキソソームによる子宮内膜の細胞間情報伝達の分子機構と内膜癌化に関する基礎研究
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23791819
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
毎田 佳子 金沢大学, 医学系, 助教 (20397219)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 癌 / エキソソーム / microRNA |
Research Abstract |
本年度は子宮内膜癌細胞が分泌するエキソソームについて詳細な検討を行った。1.子宮内膜癌細胞由来のエキソソームの回収:子宮内膜癌細胞が分泌するエキソソームを超遠心にて分離し、電子顕微鏡による大きさ、形態の確認、エキソソームマーカーであるCD63の発現の確認を行った。2.エキソソーム内RNAと細胞内RNAとの発現プロファイルの比較:エキソソームを分泌する子宮内膜癌細胞および分泌されたエキソソームより各々RNAを抽出し、RNAの鎖長分布ならびに発現するRNAの種類についてマイクロアレイを用いて検討した。エキソソームには鎖長の短いRNAが豊富に含まれること、および、microRNAの選択的な取り込みが見られることを明らかにした。3.エキソソームの細胞間授受に関する検討:子宮内膜癌細胞が分泌するエキソソームを蛍光タンパクでラベルした。子宮内膜癌細胞、正常子宮内膜上皮細胞、正常子宮内膜間質細胞、子宮内膜癌間質細胞を用いて、子宮内膜癌が分泌した蛍光ラベル化エキソソームの取り込みの有無を検討した。実験に用いた細胞間で、子宮内膜癌細胞由来エキソソームの受け取りやすさに差があることを明らかにした。 以上の結果は、子宮内膜癌細胞が特定の細胞との選択的なエキソソームの受け渡しを通じて、当該細胞の遺伝子発現を調節している可能性を示唆するものである。次年度は、エキソソームを介した子宮内膜関連細胞間の遺伝子発現調節の立証と、その生物学的意義についてさらに検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、子宮内膜癌を中心に、エキソソームの回収と内包するRNAについての検討、および、細胞間でのエキソソームの授受に関する検討が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜癌細胞由来のエキソソームの授受により、受け手側の細胞に生じる変化を中心に検討する。具体的には、遺伝子発現の変化や癌に関連した様々な形質変化(細胞増殖や浸潤能など)について検討し、子宮内膜癌におけるエキソソームを介した細胞間コミュニケーションの意義について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、外注による受託解析を予定していたマイクロアレイ解析を学内で施行したため差額が生じた。差額分は次年度の消耗品費に充当する予定である。
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