2011 Fiscal Year Research-status Report
転写因子LRH‐1による黄体ホルモン産生の分子機構解明
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23791820
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
河邉 真也 福井大学, 医学部, 特命助教 (60579415)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | LRH-1 / KGN細胞 / 卵巣顆粒膜細胞 / 黄体ホルモン / 黄体化 |
Research Abstract |
ステロイドホルモン産生異常症の治療には、ホルモン補充療法が用いられるが、継続的な投与の必要性に加えて副作用が存在することから、これに代わる治療法の開発が求められている。黄体機能不全に対する新たな治療法の開発に向け、卵巣におけるプロゲステロン産生のメカニズムを明らかにし、その産生を増強させる新たな技術開発を行うことを目的として、黄体におけるステロイドホルモン産生のマスター転写因子LRH-1の転写制御機構の解明を試みた。 ヒト卵巣顆粒膜細胞腫由来KGN細胞におけるLRH-1の転写開始点を同定したところ、LRH-1遺伝子の転写は従来とは異なる新規エキソンから開始され、この卵巣型LRH-1は肝臓型LRH-1に比べ、アミノ酸にしてN末端が40残基短いことが明らかとなった。RT-PCR法により、この新規エキソンは卵巣特異的に発現していることが確認された。転写開始点上流3kbpのゲノムDNA配列を用いたレポーターコンストラクトを構築し、ラット卵巣顆粒膜細胞の初代培養細胞を用いたレポーターアッセイを行ったところ、著しいプロモーター活性が認められた。更に、デリーションコンストラクトおよび変異を導入したコンストラクトを構築し、転写活性化領域として転写開始点上流-67/-58の10bpを同定した。ゲルシフトアッセイにより、この領域に結合する転写因子としてSp1およびSp3を同定した。Sp1は、リン酸化による修飾を受けて活性化され、組織特異的な転写調節に関わることも知られている。これらの結果から、転写因子Sp1/3を活性化させる薬剤を用いることで、LRH-1の発現増強が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、LRH-1の卵巣顆粒膜細胞特異的な転写制御機構を解明し、内因性LRH-1の発現誘導を介してプロゲステロン産生能を増強する薬剤を開発することである。平成23年度の研究実施項目は、卵巣顆粒膜細胞においてLRH-1遺伝子の転写開始点、転写活性化領域を決定し、誘導因子を同定することである。平成23年度内に、これらは全て達成している為、当初の予定通り研究は進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年度に引き続き、卵巣顆粒膜細胞におけるLRH-1遺伝子の誘導因子の同定を行う。前年度に同定した転写開始点上流-67/-58の10bp以外にも、転写活性化領域の同定に成功している。今後は、この領域に結合してLRH-1の発現に必須な因子を同定する。実施する研究は、前年度同様にレポーターアッセイとゲルシフトアッセイをメインに行い、選定された転写因子のノックダウンや過剰発現実験を培養細胞において行う予定である。また、同定された因子および前年度に同定したSp1/3を活性化させる薬剤の探索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費としては、遺伝子工学用試薬類を中心とした物品費、技術補佐員に支払う人件費、研究成果を発表する為の学会参加に掛かる経費および論文投稿料が主な内訳となる。
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Research Products
(21 results)