2011 Fiscal Year Research-status Report
乳腺上皮細胞の増殖調節におけるエストロジェン受容体の役割
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23791823
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石田 真帆 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80362086)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 乳腺上皮細胞 / エストロジェン / エストロジェン受容体 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
エストロジェンによる正常乳腺上皮細胞の増殖促進に関与する細胞間傍分泌機構を調べることを目的に、正常乳腺上皮細胞として、エストロジェン受容体(ER)を発現しないヒト非腫瘍形成性乳腺上皮細胞株であるMCF-10A細胞を用いて、遺伝子導入により一部の細胞にERを発現させることで、ER発現細胞と非発現細胞間における傍分泌機構を再現することを試みた。ER発現細胞を識別する方法として、ER遺伝子とGFP遺伝子を共発現させることでER発現細胞を標識する方法を採用した。まずER遺伝子とAcGFP1遺伝子を別々のCMVプロモーターの制御下で発現させるpBI-CMV2 vectorを作成し、遺伝子導入を行った。しかしAcGFP1の蛍光が非常に弱かったため、pBI-CMV1 vectorを用いてAcGFP1の代わりにEGFPを挿入した発現ベクターを作成した。対照用として、ER遺伝子の代わりにluciferase遺伝子を挿入したpBI-CMV1 vectorも作成した。ER発現用のpBI-CMV1 vectorを一過性に遺伝子導入し、GFP陽性細胞の検出を試みたが、遺伝子導入翌日の細胞からは、ほとんどGFP陽性細胞は検出されなかった。ひとまずこの実験系を用いてエストロジェンの細胞増殖促進作用を調べるため、細胞にER発現用のpBI-CMV1 vector を遺伝子導入後、翌日から10 nMのエストロジェンを48時間処置し、最後の2時間において増殖細胞にBrdUを取り込ませた。ER発現細胞と非発現細胞をGFP蛍光で区別した上で、免疫染色法によりBrdU陽性細胞を検出したが、ER非発現細胞の増殖率のエストロジェン処置による変化は認められなかった。一方でGFP陽性細胞率はわずか1%に満たなかったため、今後はER発現細胞の割合を増やす方策を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MCF10A細胞へのER発現用のpBI-CMV1 vector の遺伝子導入効率が低く、計画通りERを発現させた細胞が得られなかったため。また当初計画していたAcGFP蛋白の蛍光が弱く、EGFP蛋白に入れ替えたvectorを作り直したことも遅れた要因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
MCF10A細胞を用いてER発現細胞と非発現細胞間における傍分泌機構を再現するため、1.細胞への遺伝子導入試薬を変更して再度細胞にER発現用のpBI-CMV1 vector を一過性に遺伝子導入してみる、2.安定的にERとGFPを発現するMCF10A細胞株を樹立し、ER発現細胞として元のMCF10A細胞と共培養する、3.海外の研究室からERを安定的に発現するMCF10A細胞株を譲り受け、これを用いてさらにEGFPを安定的に発現する細胞株を樹立し、MCF10A細胞と共培養する、などの方策を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MCF10A細胞への遺伝子導入効率が低く、計画通りERを発現させた細胞が得られず進行が遅れていることから、次年度に繰越金が生じている。次年度は、この助成金も合わせた研究費を、主に培養試薬・血清・培地や培養器具といった細胞培養関連の消耗品、および傍分泌性増殖因子の動態を検出するためのPCR関連試薬、導入遺伝子の発現を確認するためのウエスタンブロッティング関連試薬、抗体、遺伝子組み換え実験試薬、大腸菌などに使用する計画である。
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Research Products
(3 results)