2012 Fiscal Year Research-status Report
乳腺上皮細胞の増殖調節におけるエストロジェン受容体の役割
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23791823
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石田 真帆 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80362086)
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Keywords | エストロジェン / エストロジェン受容体 / 乳腺上皮細胞 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
エストロジェンによる正常乳腺上皮細胞の増殖促進に関与する細胞間傍分泌機構を調べることを目的に、ヒト非腫瘍形成性乳腺上皮細胞株であるMCF-10A細胞を用いて、安定的にエストロジェン受容体を発現させた細胞とエストロジェン受容体を発現しない細胞の共培養実験を行った。G418存在下でエストロジェン受容体を安定的に発現するMCF-10A細胞(ERIN9)および、G418存在下で培養可能なエストロジェン受容体を発現しないMCF-10A細胞(MCF10A- IRES -NEO)を1:1の割合で混合した。エストロジェンは10 nMの濃度で24時間処置し、最後の2時間にBrdUを増殖細胞に取り込ませた。培養後細胞を冷メタノール固定し、BrdU取り込み細胞を免疫染色法により検出し、BrdU陽性細胞の割合を細胞増殖率として求めた。ERIN9のみを共培養前にPKH67で標識し、502 nmの蛍光波長を検出することにより、ERINとMCF10A-IRES-NEOとを識別して各々の増殖率を検出した。ERIN9は10 nMのエストロジェンの24時間処置により、増殖率が約50 %に低下し、エストロジェンによる増殖抑制作用が現れた。一方で共培養下のMCF10A-IRES-NEOの増殖率はエストロジェンの処置により変化しなかったことから、ERINとMCF10A-IRES-NEOとの間でのエストロジェン刺激により傍分泌的相互作用の存在は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の交付決定後、平成23年11月から平成24年5月まで産休・育休を取得した。平成24年6月から職場復帰し研究計画を進めてきたが、当初の計画を期間内に完了する見込みが得られず、補助事業期間延長を申請し、承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
共培養系におけるERIN9とMCF10A-IRES-NEOの混合割合、培養細胞密度、およびエストロジェン処置時間をさらに検討し、PKH67による細胞標識方法を用いて各細胞の増殖率を調べ、細胞間傍分泌機構の有無を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
産休・育休の取得により、当初の研究計画を期間内に完了する見込みが得られず、繰越金が生じた。繰越金は、主に培養試薬・血清・培地(410,000円)や培養器具といった細胞培養関連の消耗品(160,000円)、および傍分泌性増殖因子の動態を検出するためのPCR関連試薬(50,000円)、細胞内の変化を検出するためのウエスタンブロッティング関連試薬(90,000円)、抗体(150,000円)などへの使用を計画している。
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Research Products
(2 results)