2011 Fiscal Year Annual Research Report
羊水塞栓症診断のための新規ZnCP-I測定法の開発
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23791824
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
森島 賀子 浜松医科大学, 医学部, 技術補佐員 (70464112)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 羊水塞栓症 / ポルフィリン化合物 / コプロポルフィリン / 妊産婦死亡 |
Research Abstract |
日本において妊産婦死亡の最大の原因である羊水塞栓症は、子宮の中の羊水中に含まれる胎児成分が、なんらかの原因により母体中に混入し、血管内に詰まるなどの急性の呼吸循環障害を起こし、呼吸停止、心停止などにより60~80%が死に至るという病である。羊水塞栓症の血清学的診断の測定項目の一つとして、胎児の腸管内(胎便)に高い濃度で含まれているコプロポルフィリン1亜鉛(ZnCP-1)と呼ばれるポルフィリン化合物が用いられている。ZnCP-1は、コプロポルフィリン1に亜鉛が配位した蛍光化合物で、比較的不安定な物質であり、またZnCP-1は血清中のタンパクとの結合率が高いために、血液などの複雑な試料からZnCP-1のクリーンアップを行うことが難しい。ZnCP-1の測定には液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いているが、これまでの測定法には高コストで再現性が低いなどの問題点があったため、新たな測定法の開発を目的として研究を行っている。 平成23年度には、ZnCP-1測定装置として用いているHPLCの構成機器の一部更新や、データ取得、解析ソフト刷新を行い、低コスト化のために測定システムのセミミクロ化の検討を行った。平成24年度は、この検討を受けてこれまでのカラム内径(8mm)を、小さくするためにコンベンショナルと呼ばれる内径4.6mmのカラムを用いて測定を行った。しかし、これまでのカラムと比較してカラム寿命が短いなどの課題が残るため、やはり最終的に、このカラム径をセミミクロと呼ばれる内径2mmのカラムで測定を行うためには、カラムスイッチングと呼ばれる技法による試料前処理が重要であると考えられる。また、ZnCP-1は蛍光物質であるため、蛍光検出器により選択性が高く検出を行えるのが特徴ではあるが、本研究でブランク血清の測定試験を行ったところ、ごくごくまれにZnCP-1との近接ピークが見られることがあった。このため、これまでは1波長の励起および蛍光波長により測定を行っていたが、多波長で検出するためのシステムを導入し、さらに選択性の高い測定を行う検討を行った。これまでのところ、近接ピークの物質を同定するに至っていないが、今後は質量分析器などを用いて近接ピークの同定を行うことにより、多波長検出により偽陽性の可能性をさらに減らすことができると考えられる。
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Research Products
(1 results)