2012 Fiscal Year Research-status Report
妊娠高血圧症候群の病態における分子標的因子の解析と新たな治療法の開発
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23791825
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小谷 友美 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70359751)
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Keywords | S1P / LPA / EVT / 卵膜 |
Research Abstract |
1.絨毛膜外絨毛細胞(EVT)において、S1Pの浸潤、遊走に関与する受容体サブタイプを同定するために、各受容体サブタイプに特異的な拮抗薬を投与し検討したところ、S1P2受容体は浸潤、遊走を抑制すること、S1P3受容体は浸潤、遊走を促進する傾向を認めた。EVT細胞株は、HTR-8/SVNeoに追加し、Hch-Epc細胞も使用して、再現性を確認したが、再現が確認された。さらにsiRNAを遺伝子導入し検討した結果も、同様であった。以上より、EVTにはS1P2,3が発現しているが、S1P2は浸潤を抑制し、S1P3は浸潤を促進する作用があることが証明された。さらにEVTにはSPHK1およびABCC1が発現していることが明らかとなり、内因性のS1Pが作用している可能性が示唆された。またS1P2,S1P3のいずれかが発現優位となるかについては、細胞密度によって変化することが確認された。以上より、初期胎盤形成の段階で、脱落膜に着床後形成されるcytotrophoblastの細胞塊であるcell columnではS1P2が発現優位であり、intermediate EVTではS1P3が発現優位となっている可能性が示唆された。また、S1P2受容体拮抗薬はEVT浸潤を促進するので、胎盤形成に作用する可能性が示唆された。 2.妊娠高血圧症候群症例と週数を合致させた正常妊娠症例で胎盤におけるSPHK1, ATXの発現を検討したが、発現には優位な変化は認めなかった。 3. 羊膜におけるS1P受容体の発現を確認し、陣痛後は陣痛前に比べSPHK1の発現が亢進し、S1Pによりcox-2の発現が促進することを確認した。これによりS1Pが妊娠末期に陣痛発来に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LPAの胎盤形成への関与の仕組みへの実験はやや遅れているが、S1Pの形成への関与を明らかにすることに関してはかなり進展した。EVT細胞株も2種類で同様の結果を得ることができた。また、羊膜におけるS1Pの役割も明らかにすることができたのは非常に発展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
S1P受容体サブタイプであるS1P2受容体拮抗薬のEVT浸潤不全の改善できるかを証明する。具体的には臨床検体でS1Pの産生細胞の同定と、S1P2、3のサブタイプの発現の分布、発現を比較検討していく。今年度はSPHKでは差が認められなかったが、受容体サブタイプでは発現に差が生じる可能性が期待できる。さらに、これまでの結果は細胞株を用いたものであり、臨床応用にむけて、初代培養細胞におけるS1P2受容体拮抗薬投与による浸潤促進作用の条件を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.S1P産生細胞をinvivoで証明する。臨床検体での免疫組織染色、初代培養でのELISAを行う。 2. 臨床検体(妊娠高血圧症候群とコントロール)でS1P受容体の発現の変化を検討していく。 3.初代培養細胞におけるS1P2受容体拮抗薬の浸潤促進作用を検討する。 4. 以上の結果を国内外の学会で発表後、論文作成する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Increased expression of sphingosine kinase in the amnion during labor.2013
Author(s)
Erkhembaatar LO, Kotani T, Sumigama S, Tsuda H, Mano Y, Hua L, Hasegawa Y, Wang J, Sugiyama C, Nakahara T, Iwase A, Kikkawa F.
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Journal Title
Placneta
Volume: 34
Pages: 353-359
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] The involvement of enzymes which activate and inactivate endothelin-1 (ET-1) in human labor onset2012
Author(s)
Tomomi Kotani, Seiji Sumigama, Hiroyuki Tsuda, Yukio Mano, Tomoko Nakano, Kaoru Nimi, Sawako Fujiwara, Satoshi Matsukawa, Yuriko Watanabe, Li Hua, Fumitaka Kikkawa
Organizer
IFPA2012
Place of Presentation
広島
Year and Date
20120918-20120921