2011 Fiscal Year Research-status Report
胎児予備能の許容限界の解明を目指した重症胎児発育不全における炎症関連分子の解析
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23791833
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 英治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10544950)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 重症胎児発育不全 / 胎児予備能 / LOX-1 |
Research Abstract |
妊娠28週未満の重症胎児発育不全例を管理する上で、胎児予備能を正確に評価する方法は未だ確立されておらず、至適娩出時期を判断することは困難である。これまで子宮内環境の悪化に対して胎児・胎盤を防御する機構が存在することに着目し、胎盤における代償機構の破綻という観点から胎児予備能の許容限界の解明を目指し、まずは酸化Low-density lipoprotein(LDL)とその受容体lectin-like oxidized LDL receptor-1 (LOX-1)に焦点を当て研究を進めてきた。これまでに下記の成果を得て、現在論文に投稿中である。1) LOX-1が絨毛細胞に発現することを免疫組織染色で確認した。LOX-1発現が妊娠高血圧症候群に罹患した症例の胎盤で低下していることを定量PCRおよびWestern blotting法を用い明らかにした。またLOX-1発現が絨毛組織において低酸素培養下で低下することを明らかにした。2) 酸化ストレスに対する生体防御応答として知られているNrf2 signalingの活性が、妊娠高血圧症候群に罹患した症例の胎盤で低下することを明らかにした。また絨毛がん細胞株JARを用いた培養系を用い、Nrf2 signalingの活性が酸化LDL添加により亢進し、その活性化が抗LOX-1阻害抗体により抑制されることを明らかにした。上記の知見は妊娠高血圧症候群の症例で高頻度に認められる胎児機能不全の病態に、胎盤におけるLOX-1発現の低下に伴うNrf2 signaling活性の抑制が関与している可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京都大学医学部附属病院で分娩した正常妊婦、重症胎児発育不全、妊娠高血圧症候群、早産などの妊婦より、解析に十分な胎盤、臍帯血、母体血液などの検体を採取できている。また上記の酸化LDL/LOX-1, Nrf2 signalingの他に、子宮内環境の悪化に対する胎盤における代償機構について複数の候補遺伝子群について解析をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 妊娠高血圧症候群や重症胎児発育不全症例の胎盤において病態に関与する可能性が高い炎症関連分子、凝固・線溶系因子の発現プロファイル。2) 胎盤組織、絨毛細胞培養系を用い、 妊娠高血圧症候群や重症胎児発育不全症例の胎盤において有意に発現が低下あるいは亢進している遺伝子群の機能解析。3) in vitroで機能が明らかとなった妊娠高血圧症候群や重症胎児発育不全症例の病態に関与する分子の各種病態に対する生体内における作用の検討。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1) 免疫組織染色、定量PCR、Western blot、ELISA 、培養などに用いる試薬類、培養器具、培養液。2) 動物購入費
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