2013 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠子宮における核カテプシンLの機能と核移行メカニズムの解析
Project/Area Number |
23791838
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 織江 東北大学, 大学病院, 助手 (40399613)
|
Keywords | 脱落膜化 / 核アクチン / Arpc2 / 転写調節 |
Research Abstract |
研究計画に基づいて遂行した研究において、本年度は以下の結果を得た。 核ArpC2と子宮内膜脱落膜化に関する研究 ・アクチンフィラメントの伸長に関与するArp2/3複合体を構成する分子のうち34kDaのArpc2はマウス子宮内膜間質細胞において発現が観察される。ウェスタンブロッティングと免疫組織化学による解析の結果、子宮内膜においてArpc2は血中プロゲステロン濃度の増加に依存して発現量が増加し、かつ一部が核に移行することが明らかとなった。また、子宮内膜間質細胞初代培養系に対するプロゲステロン刺激実験により、Arpc2核移行はプロゲステロンの影響を受けることが明らかとなった。そこで核Arpc2の機能を解析するために、核特異的にArpc2を過剰発現させるNLS-Arpc2-HA発現ベクターを構築し、マウス子宮内膜間質細胞初代培養系において核Arpc2を一過性に過剰発現させ、細胞の挙動および脱落膜化の指標となる遺伝子の発現を解析した。培養系には脱落膜化を誘導するプロゲステロンを添加せず、NLS-Arpc2過剰発現がmRNA発現変化に影響を与えるかどうか、定量的PCRで解析した。実験のコントロールとしてNLS-HA vectorを発現させた細胞を用いた。その結果、NLS-Arpc2を過剰発現させた実験群において、プロゲステロンレセプター、DtPRPといった脱落膜化に際して発現が増加する遺伝子が、プロゲステロン刺激が無い状態にも関わらず二倍程度に増加した。このことは、核アクチンを中心とした核骨格の変化がクロマチンリモデリングを通じて特定の遺伝子発現に関与している事を示しているのかも知れない。また、細胞分化の際に核骨格が変化することで、より効率の良い遺伝子発現変化が起きるメカニズムの存在を示唆していると考えられた。
|