2013 Fiscal Year Research-status Report
VAV1-Rac1-PAK1経路の制御による卵巣癌の新たな治療戦略の開発
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23791842
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
若橋 宣 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80596651)
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Keywords | 上皮間葉移行 / 卵巣癌 |
Research Abstract |
【VAV1発現はmRNAレベルでもE-cadherin発現を抑制する】 平成24年度、卵巣癌細胞株SKOV-3にVAV1発現遺伝子を導入し、VAV1 恒常発現細胞株を樹立した。 更に、VAV1 恒常発現株でE-cadeherin発現が低下することを明らかにしている。平成25年度はこのE-cadherin発現がタンパクレベルでの分解促進によるものなのか、転写レベルでのものなのかを明らかにする目的で、E-cadherinのmRNA発現をリアルタイムPCR法にて検討した。 リアルタイムPCRの結果はVAV1発現依存性にE-cadherin mRNA発現の低下を認めるといった結果であった。 【VAV1のE-cadherin発現低下は転写制御因子であるSnail Slaugを介している】 VAV1 発現が転写レベルでE-cadherinの発現低下を起こしていることから、E-cadherinの転写調節因子の検討をおこなった。Twist, E2A, ZEB1, Snail, Slugなどの発現を検討し、最終的にSnail, Slugの発現がタンパクレベルでもmRNAレベルでもVAV1発現依存性に増加している事を見いだした。VAV1-siRNAでSnail, Slug発現が低下認めることから、VAV1がSnail, Slug発現を何らかの形で調整していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VAV1のE-cadehrin発現調節のメカニズムの一部を明らかにすることができた。E-cadherinの調節機構はがん細胞の転移機構と密接な関係を持っており、予後と密接に関連する因子と考えられる。 先の研究で、VAV1発現の有無が卵巣癌の予後と関わることを明らかにしているが、その分子生物学的裏付けが一部なされた事は評価できると考える。論文として研究成果を報告できた事も大きい。 一方で、E-cadherinの転写因子の制御をどのシグナルを通じて行っているのかは明らかでなく、今後の研究課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
VAV1からどのようなシグナル経路でE-cadherin転写因子の調節が行われているのかを明らかにしたいと考えている。各種シグナル因子の発現を検討したい。さらには、細胞株の網羅的解析としてメチル化解析などもあわせて行う予定である。 また、タンパクレベルでの調節機構を再度検討したいと考えている。具体的にはE-cadherinのユビキチン化が行われているのかどうかの検討をしたいと考えている。 【課題】VAV1恒常発現株でE-cadherinの発現低下を示すことができたが、VAV1-siRNAでE-cadherinの発現回復をおこなうことはできなかった。転写因子以外の調節因子が絡んでいる可能性があり、対応を検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を論文とする期間、実験の進みを遅らせざるを得ない状況であったため。 研究の新しい局面を開くために、VAV1恒常発現細胞株のメチル化解析などを行う予定。
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