2012 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸癌の新たなバイオマーカーの検索ー測定系の確立と分子標的治療への応用ー
Project/Area Number |
23791845
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末岡 幸太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40452643)
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Keywords | 子宮頸癌 / 扁平上皮癌 / HSP70 |
Research Abstract |
子宮頸部扁平上皮癌組織で増加する蛋白であるHSP70に着目し、研究を行った。(1)多数の臨床検体でHSP70の発現を確認するために、組織抽出液を用いた蛋白発現の検討で、HSP70の発現は癌で10例中8例、正常組織で10例中3例に比して高頻度であった。(2)細胞株では6種類の子宮頸癌細胞株では全てHSP70の発現は増加していた。(3)そのうちSiHa、SKGIIにsiRNAを導入しHSP70発現抑制株を作成した。①HSP70の発現抑制により増殖能は有意に抑制され、細胞周期はG2/M期に停止が認められた。なお、アポトーシスには有意差を認めなかった。②HSP70の発現抑制により遊走能は有意に抑制された。③HSP70の発現抑制により浸潤能は有意に抑制された。④HSP70の発現抑制によりシスプラチン添加で誘導されたアポトーシス細胞の割合は有意に増加した。 まとめると、HSP70は初期子宮頸癌でも発現の増強が認められ、またHSP70の発現を抑制することにより、癌の増殖、浸潤・転移を抑制するだけでなく、シスプラチンのアポトーシス誘導作用を増強させることが示された。 このことからHSP70は子宮頸部扁平上皮癌の分子マーカーになり得る可能性が示唆され、その発現抑制は従来の治療に加えた新規の癌分子標的治療としての抗腫瘍作用の増強が期待できると考えられた。
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