2011 Fiscal Year Research-status Report
子宮筋腫の増殖とエストロゲンレセプターα標的遺伝子のDNAメチル化異常
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23791846
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前川 亮 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90598749)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | DNA methylation / Uterin leiomyoma / estrogen / progesterone |
Research Abstract |
子宮筋腫がestrogen及びprogesterone依存性に発症・進展することから、estrogen receptor及びprogesterone receptorの標的遺伝子に着目してDNAメチル化の研究を進めている。1. 子宮筋腫のゲノムワイドDNAメチル化解析研究計画に沿い、多症例検討による子宮筋腫で共通したDNAメチル化異常を呈する遺伝子の検出作業を行った。子宮筋腫3症例を対象として検討を行った。正常筋層組織、筋腫組織を3症例から3セット採取し、6組織をゲノムワイドDNAメチル化解析に供した。得られたメチル化異常遺伝子において、3症例で共通する低メチル化異常488遺伝子、高メチル化異常1018遺伝子を得た。2. 共通メチル化異常遺伝子における、estrogen/progesterone receptor標的遺伝子の抽出共通したメチル化異常を呈する遺伝子について、転写開始地点から2000塩基以内にestrogen receptor, progesterone receptorの結合配列が存在するかについて検討を行い、3例で共通した低メチル化異常遺伝子ではestrogen receptor標的遺伝子を11遺伝子、 progesterone receptor標的遺伝子では7遺伝子を得た。また、共通した高メチル化異常遺伝子ではestrogen receptor標的遺伝子を35遺伝子、progesterone receptor標的遺伝子を15遺伝子得た。 ここまでの複数症例を用いた研究により、estogen/progesterone receptorの標的遺伝子を抽出する成果を得た。これら遺伝子は子宮筋腫の発症・進展に関わっている可能性が極めて高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数症例でのゲノムワイドメチル化解析を施行することにより、筋腫において共通性の高い低メチル化異常、高メチル化異常を有する遺伝子を得た。現在発現解析を進めており、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. メチル化解析で得た遺伝子について、それぞれ複数の子宮筋腫症例での発現解析を施行する。これにより、メチル化異常/発現異常両者を有する遺伝子を抽出する。2. 上記の実験によって得られたメチル化異常/発現異常両方を有する遺伝子について、平滑筋培養細胞へ導入実験を行い、平滑筋細胞を詳細に観察することで、子宮筋腫の発症及び進展にこれらの遺伝子が関与しているかについて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)DNAメチル化異常とmRNA発現 : 23年度に、更に症例を追加してゲノムワイドDNAメチル化解析を行う予定であったが、患者検体を用いており、標本採取に時間を要したために施行できず、未使用額が生じた。24年度でDNAメチル化解析を外部に解析を委託して追加検討する。その後DNAメチル化異常が実際にmRNA発現に影響しているかどうかを明らかにするため、症例間で共通したメチル化異常を呈した遺伝子について、外部委託によるマイクロアレイ解析、及びreal-time RT-PCR 法でmRNA発現を解析する。real-time RT-PCR法は当施設で行うため、RT反応のための試薬、PCR反応のための試薬の購入を行う。(2)DNAメチル化異常を有するestrogen receptor/progesterone receptor標的遺伝子の平滑筋培養細胞への影響の検討 : 上記発現解析で高発現異常を呈した遺伝子について、これら遺伝子を強制発現させる発現ベクターを作製する。実験には、正常子宮平滑筋細胞(TAKARA)および強制発現ベクター(pGL3-basic ベクター)を用いる。強制発現ベクターの作製は、cDNAライブラリを作製した後に目的遺伝子のmRNA 全長をPCRにて増幅し、pGL3-basicベクターに挿入して行う。強制発現による細胞数の変化を観察し、遺伝子が平滑筋細胞の増殖能に与える影響を検討する。低発現異常を来した遺伝子については、遺伝子の発現を抑制するsiRNA を正常子宮平滑筋細胞に作用させ、遺伝子の発現抑制を行う。発現抑制による培養細胞数の変化を観察して遺伝子の平滑筋細胞への影響を検討する。上記実験のため、平滑筋培養細胞と培養試薬、強制発現ベクター、siRNAの購入を行う。
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