2012 Fiscal Year Annual Research Report
対立遺伝子間遺伝子発現相違に起因する子宮体癌発症メカニズムの解明
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23791847
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
恒松 良祐 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20380529)
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Keywords | AED / 子宮体癌 / MDM2 / PCR-SSCP |
Research Abstract |
細胞老化誘導シグナロソーム破綻へのAllelic Expression difference(AED)の関与を明らかにするために、MDM2遺伝子の3'非翻訳末端のSNP(rs1690916、A/G)をマーカーSNPとして子宮体癌患者および対照群各45例より採取した組織(子宮体癌組織および正常子宮内膜組織)よりゲノムDNAおよびmRNAを抽出し、上記SNPを含む領域をRT-PCRーSSCP法を用いて解析した。正常子宮内膜組織ではゲノムDNAおよびmRNA上のマーカーSNPの存在比はいずれも1:1であり、AEDが存在しなかったが、子宮体癌患者由来の20例中2例において、mRNA上のマーカーSNPの存在比が大きく異なることが明らかとなり、これらにおいてはAEDが存在することが示唆された。 MDM遺伝子にはP1、P2という2つのプロモーターが存在するが、P1プロモーター由来の転写産物のAEDを同様にPCR-SSCP法で解析したところ、P1プロモーターからの遺伝子発現にはAEDが存在せず、MDM遺伝子のAEDはP2プロモーターに由来すると考えられた。P2プロモーターでは転写因子Sp1の結合配列上にあり、Sp1の親和性に影響を与えるSNP309がよく知られているが、われわれはこれとは別にP2プロモーター上のさらに5'側に新規のSNP(T/G)を同定した。このSNPにより本来Sp1結合配列である領域上にNF-kB結合配列が出現することを見いだし、NF-kBのp50サブユニットが同部位に結合することにより、MDM2の転写を抑制することを明らかにした。さらに上述したAEDを示す子宮体癌組織を用いた免疫染色で、p50が核内に異常蓄積していることから、in vivoにおいてもMDM2の転写におけるNF-kBシグナルによる抑制的制御機構の存在が明らかとなった。
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