2011 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌における新たなエストロゲン受容体伝達調節機序の解明と内分泌治療への展開
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23791849
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 泰輔 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00569824)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エストロゲン関連受容体 |
Research Abstract |
【目的】Estrogen-related receptor (ERR)は、エストロゲン受容体 (ER)と類似する構造を有するが、リガンドを持たない核内受容体である。その亜型のERRγは乳癌や前立腺癌における予後規定因子と報告されている。本研究では、子宮体癌におけるERRγの関与を知ることを目的として、その発現や機能を検討した。【方法】ERRγ陰性子宮体癌細胞株(ERα陽性; Ishikawa、ERα陰性; HEC1A)におけるERRγのエストロゲン応答転写活性および細胞増殖についてluciferase assayやWST-8 assayを用いて検討した。また、子宮体癌組織におけるERRγの発現について免疫組織化学的検討を行った。【結果】ERRγは、Ishikawa細胞においてERαを介するエストロゲン応答転写活性を抑制したが、HEC1A細胞においては促進させた。ERRγを過剰発現させたIshikawa細胞ではコントロール群と比し増殖は抑制されたが、HEC1A細胞では増殖が促進した。また、ERRγアゴニストであるDY131はIshikawa細胞でエストロゲン応答転写活性および細胞増殖を抑制し、HEC1A細胞では両者を促進させた。子宮体癌においてERRγは83例中26例に発現しており、ERRγ陽性/ERα陰性例は有意に予後不良であった。【結論】ERRγは子宮体癌においてERαを介したエストロゲン応答を調節し増殖に関与すると考えられ、内分泌治療の標的分子となり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進展しており、本年度は国内の研究会、学会で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ERRγは子宮内膜癌における新たなターゲット因子となりうる可能性が本研究より見いだされている。今後はリガンドとなりうる化合物の同定も含め、その治療効果につき検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、免疫組織染色法やウエスタンブロット法に必要な一次抗体、増殖試験などに必要な試薬などの購入に使用する。
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