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2012 Fiscal Year Research-status Report

妊娠高血圧症候群および多胎妊娠時に併発する高尿酸血症の発症メカニズム解明

Research Project

Project/Area Number 23791852
Research InstitutionKyorin University

Principal Investigator

木村 徹  杏林大学, 医学部, 助教 (30433725)

Keywords尿酸 / 高尿酸血症 / 傍細胞輸送 / 胎盤
Research Abstract

妊娠高血圧症候群 (PIH)は、主として妊娠後期に見られる高血圧とタンパク尿を主とする疾患群の総称であるが、その発症時の多くに高尿酸血症を併発することが知られている。またPIHのような病的状態ではないが、多胎妊娠時においても母体血清尿酸値が上昇することが報告されている。本年度は特に胎盤における尿酸輸送に着目し検討を行った。
昨年度の結果から、母体・臍帯間の血清尿酸値に有意な差は認められず、胎盤において母体・胎児間の尿酸輸送が積極的に行われていることが示唆された。まず、胎盤における尿酸合成酵素の活性を測定したが、若干の活性が見られたものの、PIHや双胎妊娠で上昇しているということはなかった。そこで、胎盤組織における尿酸輸送体の発現の検討を行った。RT-PCRの結果から、胎盤には尿酸輸送能をもったトランスポーターのうち、OAT4, OAT10, URATv1, ABCG2のmRNA発現を確認した。免疫組織染色の結果から、ABCG2は合胞体栄養膜細胞の母体側、OAT4は合胞体栄養膜細胞の胎児側、OAT10は合胞体栄養膜細胞全体、URATv1-short isoformは合胞体栄養膜細胞の母体側と血管内皮細胞、URATv1-long isoformは血管内皮細胞と結合組織にそれぞれ発現が見られた。PIHや双胎妊娠でその局在に変化は見られなかった。ヒト絨毛癌由来のBeWo細胞にもこれらトランスポーターの発現が確認できたが、尿酸輸送能を測定した結果、細胞内に尿酸はほとんど取り込まれなかった。そこで、輸送体を介さない物質の輸送、パラセルラー経路に関して検討を行った。その結果、BeWo細胞では4℃条件下でもトランスウェル上下間での尿酸輸送が確認でき、尿酸がパラセルラー経路で輸送されていることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究計画では、(1) ウエスタンブロットによる尿酸輸送体および尿酸合成酵素(XO)タンパク質の検出と定量(2) 尿酸輸送体の組織内局在の検討(3) XO活性の測定を行う予定であった。また、昨年度の遅れのために行っていなかった(4)RT-PCRによる尿酸輸送体の検出を計画していた。(2)、(3)、(4)に関しては、滞りなく終了した。(1)に関してであるが、尿酸輸送体の局在に関しては蛍光免疫染色にて確認を行ったが、それと並行して行っていた胎盤上皮細胞における尿酸輸送解析で、尿酸トランスポーターは関与していないことが明らかとなった。そのため、ウエスタンブロットによる尿酸輸送体タンパク質の検出と定量は行わなかった。また、胎盤におけるXOの活性を測定したが、若干の活性が見られたものの、PIHや双胎妊娠で上昇しているということはなかったため、XOタンパク質の検出と定量は行わなかった。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究結果から、当初の予測とは異なり、胎盤上皮細胞において尿酸がトランスポーターを介するトランスセルラー経路ではなく、細胞間を通るパラセルラー経路で輸送されていることが示唆された。そこで、当初の計画で行う予定であった尿酸輸送体の遺伝子解析を取りやめ、胎盤上皮細胞における尿酸輸送機構の解明と尿酸の生物学的役割解明に焦点を当て、検討を行う予定である。
(1)胎盤上皮細胞における尿酸輸送機構の解明
パラセルラー輸送に重要な役割を果たす分子がclaudinである。現在、胎盤上皮由来BeWo細胞は尿酸をパラセルラーで輸送するが、腸管上皮由来Caco-2細胞では輸送が見られないことを確認しており、少なくとも1種類ずつの尿酸輸送が異なる細胞がある。claudin mRNAの発現はRT-PCR、タンパク質の検出には質量分析計を用いる。発現が同定された分子に対して、ノックダウンや過剰発現をすることによって、尿酸のパラセルラー輸送に関与するclaudin分子を明らかにする。
(2) 尿酸の生物学的役割の検討
尿酸が胎児発生過程に必要であるのか、逆に不要の代謝物で負の作用を与えるのか不明である。そこで、モデル動物やin vitro実験系にて尿酸の役割の検討を行う。モデル動物としては当研究室で使用されている、個体の発生過程の観察が容易であるアフリカツメガエルを用い、受精後に様々な濃度の尿酸存在下で発生過程を観察することによって評価する。また尿酸の血管内皮障害に関して検討を行うため、血管内皮細胞由来のHUVEC細胞を用いて、尿酸の細胞増殖に対する効果を検討したり、血管内皮障害時にはNO産生が低下することが知られているので、NOの蛍光指示薬を用いてNO合成を可視化・定量する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額の2,170円は、消耗品類に使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 妊娠時における母体・胎児間の尿酸代謝解析2013

    • Author(s)
      木村徹、上原一朗、谷垣伸治、岩下光利、安西尚彦、櫻井裕之
    • Journal Title

      発達腎研究会誌

      Volume: 21 Pages: 7-11

  • [Presentation] 上皮細胞における尿酸輸送とclaudinの発現2013

    • Author(s)
      木村徹、塚田愛、大槻純男、福冨俊之、市田公美、櫻井裕之
    • Organizer
      日本薬学会第133年会
    • Place of Presentation
      横浜
    • Year and Date
      20130327-30
  • [Presentation] 上皮細胞における尿酸のparacellular輸送2013

    • Author(s)
      木村徹、塚田愛、市田公美、櫻井裕之
    • Organizer
      第46回 日本痛風・核酸代謝学会総会
    • Place of Presentation
      東京・新宿
    • Year and Date
      20130214-20130215
  • [Presentation] Uric acid crosses the placental barrier through paracellular route2012

    • Author(s)
      Toru Kimura, Ichiro Uehara, Shinji Tanigaki, Mitsutoshi Iwashita, Hiroyuki Sakurai
    • Organizer
      2012 ASCB Annual Meeting
    • Place of Presentation
      San Francisco, CA, USA
    • Year and Date
      20121215-19

URL: 

Published: 2014-07-24  

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