2013 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群および多胎妊娠時に併発する高尿酸血症の発症メカニズム解明
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23791852
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木村 徹 杏林大学, 医学部, 助教 (30433725)
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Keywords | 尿酸 / 高尿酸血症 / 傍細胞輸送 / 胎盤 |
Research Abstract |
妊娠高血圧症候群 (PIH)は、主として妊娠後期に見られる高血圧とタンパク尿を主とする疾患群の総称であるが、その発症時の多くに高尿酸血症を併発することが知られている。またPIHのような病的状態ではないが、多胎妊娠時においても母体血清尿酸値が上昇することが報告されている。そこで、妊娠高血圧症候群時や多胎妊娠時に併発する高尿酸血症発症のメカニズムの解明、および高尿酸血症がもたらす胎盤や胎児への影響を調べることを目的とし検討を行った。これまでの研究から、胎盤において母体・胎児間の尿酸輸送が積極的に行われていることが示唆された。そこで、胎盤組織における尿酸輸送体の発現をRT-PCRおよび免疫蛍光染色により検討を行った。その結果、胎盤には尿酸輸送能をもった輸送体のうち、OAT4, OAT10, URATv1, ABCG2の発現を確認した。ABCG2は合胞体栄養膜細胞の母体側(絨毛膜)、OAT4は合胞体栄養膜細胞の胎児側(基底膜)、URATv1-short isoformは合胞体栄養膜細胞の母体側と血管内皮細胞、URATv1-long isoformは血管内皮細胞にそれぞれ発現が見られた。BeWo細胞(ヒト胎盤絨毛癌由来細胞)をモデルとして、尿酸輸送の検討を行った。BeWo細胞および腎臓由来細胞のMDCK, LLC-PK1細胞を用いたトレーサー実験により、尿酸輸送特性の検討を行った。BeWo細胞を用いて、時間依存的および濃度依存的の尿酸取り込み活性を測定したが、ほとんど尿酸は細胞内には取り込まれていないことが分かった。そこで、輸送体を介さない物質の輸送、パラセルラー経路に関して検討を行った。その結果、MDCKやLLC-PK1細胞では見られなかったが、BeWo細胞では4℃条件下でもトランスウェル上下間での尿酸輸送が確認できた。したがって、胎盤においては腎臓と異なり、尿酸がパラセルラー経路で輸送されていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)