2013 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックスな調節に基づく子宮頸部腫瘍の病態解明アプローチ
Project/Area Number |
23791855
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村上 功 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70445237)
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Keywords | ヒトパピローマウイルス / メチル化 / エピジェネティックス / バイオマーカー |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度の実験計画を継続し日本で感染者の多いHPV52型・58型に感染した臨床検体のメチル化頻度やパターンの更なる解析を実験計画とし期間の延長を申請した。 HPV52型・58型のE6遺伝子、LCR領域でメチル化が認められなかったのに対し、L1遺伝子ではメチル化が高頻度に認められた。さらにL1遺伝子のメチル化頻度と病変の進行度に関連が認められた。また無治療のcervical intraepithelial neoplasia (CIN) 1・2症例のメチル化と予後を検討したところ、HPV52型・58型とも両者間に関連が認められた。 L1遺伝子のメチル化頻度と病変の進行度、予後の間に関連が認められた。さらにこの関連性はHPV型に共通の現象であった。L1遺伝子のメチル化は子宮頸部腫瘍の診断的バイオマーカーとしてだけではなく予後バイオマーカーとしても有用であることが示唆された。 次に細胞診とサイトカイン、HPV感染の関連を検討した。細胞診結果と相関したのはGM-CSF(p=0.015) とMCP-1(p=0.004)であった。GM-CSFはHPV感染と関係なくHSILでNILMとLSILに比べ高値を示した(p=0.009)。MCP-1はhigh risk HPV感染群においてHSILでNILMとLSILに比し低値を示した(p=0.008)が、low risk HPV感染群とHPV非感染群では病変間の有意差はなかった。 GM-CSFとMCP-1はともに抗腫瘍免疫応答を誘起するサイトカインであり、CINのhigh risk HPV感染例では病変進行とともにMCP-1は発現が低下し免疫逃避が生じると考えられた。一方で、GM-CSFの発現上昇は宿主の抗腫瘍免疫応答が誘起されていることを示唆している。
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