2012 Fiscal Year Research-status Report
人工前庭器の開発に関する研究 -両側前庭障害に対する新たなアプローチ-
Project/Area Number |
23791877
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛尾 宗貴 東京大学, 医学部附属病院, その他 (70361483)
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Keywords | 前庭 / 人工 |
Research Abstract |
1.正確な眼球運動を記録できるシステムの構築: すでに稼働している赤外線CCDカメラと刺激電極からなるシステムに高速ビデオを加えた高速眼球運動解析システムを構築しつつある。現時点で眼球運動自体を記録することは可能となっているが、眼球運動解析システムが十分に機能していない。 2.両側末梢前庭機能廃絶モデル動物の作成: モルモットに両側迷路破壊術を行う。3で用いるモルモットとしてのモデル動物作成は安定して可能となっている。 3.多チャンネル型刺激電極を用いた適切な刺激条件の決定: モルモットを申請者が考案した前頭側頭開頭変法で開頭し、多チャンネル型刺激電極を上下前庭神経節に刺入することは可能となっている。1で構築したビデオシステムを用いて電気刺激時の眼球運動を解析し、本研究用にセットアップしたマルチチャンネル刺激装置を用いて末梢前庭の各部位(半規管、耳石器)を個別刺激するのに使用する電極の選定と至適刺激条件を決定して個別刺激の解像度を高めることはまだ出来ていない。 4.前庭神経節刺激用オリジナル電極の開発: 申請者はモルモットの前庭神経節を包み込む形状の電極をデザインしている。 5.三次元加速度計の製作: 25年度の実装に向けて、半規管同様 互いに約90度の位置関係となるよう加速度計をセットした三次元加速度計を製作する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
眼球運動解析システムのセッティングと人工前庭の一部となる電極を留置しての刺激に関する研究が遅れている。一方、その他のシステムとモデル動物作成に関する準備は順調にすすんでいる。 原因としては、眼球運動解析システムを構築するのに大きな予算が必要なことが挙げられるが、現在交渉中のチームの助力を得ることにより、比較的低予算でセッティングできる可能性が高まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
眼球運動解析システムのセッティングと人工前庭の一部となる電極を留置しての刺激に関する研究が遅れているが、今後は以下の課題を推進する予定である。 1.平成24年度に達成できなかった研究課題の遂行 2.両側迷路破壊術術後に長期間経過したモルモットの眼球運動の評価:平成23年度の2で作成した両側末梢前庭機能廃絶モデル②、③を用い、電気刺激による眼球運動を記録する。前庭神経節の細胞数が減少していれば、電気刺激による眼球運動の利得が低下している、あるいは眼球運動自体を惹起できないことが予想される。 3.モルモットの前庭神経節ならびに前庭神経核細胞の形態学的検討:両側迷路破壊術1ヶ月後より定期的に電気刺激を行っていた群と手術6ヶ月後にのみ電気刺激を行った群を手術7ヶ月後に還流固定し、それぞれの前庭神経節ならびに前庭神経核を摘出して神経節細胞の数と形態を比較する。受容器(半規管および耳石器)からの信号が長期間消失した場合には前庭神経節の細胞数が減少することが予想されるが、定期的な電気刺激を行った場合には細胞数の減少をある程度防止できることが期待される。 4.三次元加速度計からの信号の前庭神経節への入力:平成23年度の5で製作した三次元加速度計からの信号をモルモットに埋め込んだ電極を用いて前庭神経節に入力する。これによりモルモットに眼球運動が生じるよう設定することが、本研究期間の最終目標である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
眼球運動解析システムのセッティングと人工前庭の一部となる電極を留置しての刺激に関する研究が遅れているが、現在所属施設の工学部の研究室の助力を得られる状態となっており、本年度の研究費と合算した予算により、最も大きなコストが必要になると考えられる眼球運動解析システムのセッティングが可能になると考えている。 また、三次元加速度計とこれに関連するソフトについては低予算で提供を受けられる可能性が高いため、次年度に急速に研究がすすみ、生じていた遅れを取り戻すことが可能であると考えられる。 すなわち、本年度の繰り越し分と次年度の研究費を合算し、遅れていたシステム構築に用いる予定である。
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