2012 Fiscal Year Research-status Report
感冒後嗅覚障害の病態生理解明および予防治療法開発のための分子生物学的研究
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23791878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金谷 佳織 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90456129)
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Keywords | 嗅覚 |
Research Abstract |
昨年度ウイルスに対する宿主免疫応答に伴う嗅上皮傷害について解析するため、ウイルス感染における免疫モデルとして用いられるPoly(I:C)をマウスに経鼻投与し、炎症細胞浸潤および嗅上皮傷害について免疫組織学的に解析を行った結果、好中球が嗅上皮傷害に強く関与することが示された。そこで本年度は好中球浸潤に伴う嗅上皮傷害に対する予防的治療法を見出すため、好中球遊走因子発現を抑制する作用を有するマクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン)をマウスに腹腔内投与し、Poly(I:C)経鼻投与による好中球浸潤および嗅上皮傷害が抑制されるかどうかの検討を行った。まずELISA法によりマウス好中球遊走因子(MIP-2)の発現を解析したところ発現は有意に減少していた。また好中球浸潤数および嗅上皮傷害は有意に抑制された。 次にPoly(I:C)経鼻投与による嗅粘膜免疫応答および嗅上皮傷害が加齢に伴い変化するかどうかの検討を行った。若齢マウスと加齢マウスで好中球浸潤数および嗅上皮傷害に有意差は認めなかった。 疫学的にウイルス性嗅覚障害は高齢女性に多いということが知られており、性ホルモン(エストロゲン)状態が免疫応答および嗅上皮傷害に影響するかどうかを検討するため卵巣摘出マウス(OVX)を作成した。Sham手術群とOVX群とで好中球浸潤数、嗅上皮傷害に有意差は認めなかった。 次に嗅上皮傷害後の組織再生におけるマクロファージの役割を検討するため、マクロファージ枯渇モデルマウスを作製し、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度予定していた電子顕微鏡を用いたPoly(I:C)経鼻投与による嗅上皮の微細形態の変化および嗅上皮傷害後の神経上皮再生にかかわるシグナル応答の解析が未施行である。先に嗅上皮再生におけるマクロファージの役割についての検討を開始したため施行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①嗅上皮再生におけるマクロファージの役割の検討 ②Poly(I:C)経鼻投与による嗅上皮の微細形態の変化 ③嗅上皮傷害後の神経上皮再生にかかわるシグナル応答の解析
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究のため実験動物、飼料、各種抗体、試薬類を購入予定である。 また研究成果の学会発表および論文作成を予定している。
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Research Products
(2 results)