2011 Fiscal Year Research-status Report
内耳治療に向けてのウロキナーゼ抗アポトーシス作用の検討
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23791880
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451809)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ウロキナーゼ / アポトーシス / MAPK |
Research Abstract |
本年度はウロキナーゼのアポトーシス抑制経路の検討を行った。ラット蝸牛培養細胞を用い、障害因子としてカナマイシンを投与した。カナマイシン(KM)投与培養細胞に対して、Caspase9の染色を行うと10時間後にCaspase9の発現が見られることがわかった。ここへ、ウロキナーゼの投与によりKMによる障害が濃度依存的に軽減した。以上からミトコンドリアを介したアポトーシス経路の抑制が推測された。他の研究にてウロキナーゼのアポトーシス抑制効果としてはMAPKの発現を調節することが岩ており、今回同様の実験系においてERK1/2、P38の発現に変化があるかを検討した。これまでKM投与1時間~10時間まで条件を検討していったが、現時点では残念ながらいずれのMAPKの発現の変化は確認できていない。今後の戦略として、MAPK阻害剤を同時投与することによりウロキナーゼのKM障害に対するアポトーシス抑制効果の変化をみることで間接的にMAPKへのウロキナーゼの影響を検討するとともに、Western BlotによるMAPKの発現を検討してゆく予定である。また、ラット蝸牛螺旋神経節細胞の培養細胞においても現在ウロキナーゼの効果を検討している。神経栄養因子の非存在下でのアポトーシスやグルタミン酸投与によるアポトーシスの抑制効果さらには、MAPK発現の変化について現在検討を加えているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はMAPKを含む蝸牛におけるウロキナーゼのアポトーシス抑制メカニズムを解明する予定であったが、現時点ではまだ完全に解明が達成できていない。来年度に引き続き検討を加えていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、昨年度に引き続きウロキナーゼのアポトーシス作用機序について検討を加えてゆく。具体的には免疫染色によるMAPKの検出に加えてWestern Blottingなどの手法で証明する方法や、MAPK阻害剤によるウロキナーゼの効果の変化をみる方法など行う予定である。また、蝸牛有毛細胞のみならず螺旋神経節細胞・血管条・前庭有毛細胞など他の機関においても検討を加えてゆく予定である。また、臨床応用により近い形でのin vivo におけるウロキナーゼの効果確認、アポトーシスシグナルの検出も行う予定である。in vivo では障害因子としてアミノ配糖体に加えて臨床上でよく問題となる騒音暴露、加齢性変化なども追加して行っていく予定である。その際は、蝸牛有毛細胞のみならず、前庭細胞・螺旋神経節細胞なども含めて検討を行っていく予定である。細胞の組織学的な障害度に加えABRによる聴力の変化、平衡機能検査(カロリックテスト)など前庭機能の検査なども併せて行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種抗体、阻害剤など薬剤および培養器具、動物代など消耗品に60万程度予定している。海外での発表、情報収集の旅費として20万程度必要と考えている。さらに成果の発表に関連した費用その他雑費として20万円程度使用する予定である。
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Research Products
(7 results)