2012 Fiscal Year Research-status Report
内耳治療に向けてのウロキナーゼ抗アポトーシス作用の検討
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23791880
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樫尾 明憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451809)
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Keywords | アポトーシス / ウロキナーゼ / アミノ配糖体 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続きウロキナーゼのアポトーシス抑制効果・そのアポトーシス抑制経路の検索を行った。ラット蝸牛培養細胞を用い、障害因子として硫酸カナマイシン(KM)を投与した。これまでにKM投与下でウロキナーゼ投与を行うと優位に細胞障害が抑制されることを示したが、ここへウロキナーゼインヒビターを投与を行い変化を観察したところ、細胞障害の予防効果は消失し、KMによる蝸牛有毛細胞障害にウロキナーゼが関与していることが、示唆された。ウロキナーゼによるアポトーシス抑制経路としてこれまでにERK1/2およびP38の活性化による経路が報告されているが、ERK1/2については明らかな発現は認められなかったものの、KM投与6時間後においてウロキナーゼ投与群でP38の発現が認められた。このことからウロキナーゼによるP38経路の活性化がアポトーシスを抑制することが示唆された。また、in vivoの系で、白色モルモットに対してKMおよびエタクリン酸による難聴モデル動物を作成し、ウロキナーゼを蝸牛窓に留置難聴の予防効果を検討したが、残念ながら有意な効果は認められず今後継続して実験を行う必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はウロキナーゼのアポトーシス抑制機構の一部が解明された。またウロキナーゼインヒビターによる実験を追加することで、ウロキナーゼの有毛細胞障害予防効果がより確実なものであることが証明でき、今後実験をin vitroからin vivoへと発展させていくための基礎が形成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、蝸牛有毛細胞のみならずらせん神経節神経節細胞や前庭細胞などにおいてもアポトーシス障害予防孔効果があるかどうかを検討してゆく。また、P38によるアポトーシス抑制を確認するためにP38インヒビターを用いてその効果が消失するか確認する予定である。また、有毛細胞以外の組織でもP38の活性化が起こるかどうかも検討する。 また、臨床により近いin vitroの実験系においてウロキナーゼの効果を聴力測定、アポトーシスシグナル検出などを通じて確認する。障害因子としてはアミノ配糖体投与以外にも騒音暴露・加齢性変化などの要因も含めて検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種抗体、阻害剤などの薬剤および培養器具、動物代など消耗品30万円程度予定している。海外での発表・情報収集などに20万、成果発表関連20万円程度予定する。
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Research Products
(5 results)