2011 Fiscal Year Research-status Report
難聴モデルマウスを用いた聴覚野周波数マップの研究:耳鳴の積極的予防を目指して
Project/Area Number |
23791882
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
窪田 和 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (40547593)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 耳鳴 / 周波数マップ |
Research Abstract |
難聴が末梢受容器である蝸牛に生じると、大脳聴覚野への聴覚刺激のインプットが減少する。それに伴い聴覚野内で神経細胞ネットワークの変化が生じ、周波数マップに変化が生じることが耳鳴の成因の一つであると考えられており、周波数マップの変化を外的要因で抑制できれば耳鳴の予防的治療法の可能性に繋がるものと考えている。加齢や音響外傷などで生じる蝸牛障害によって聴覚野周波数マップがどのように変化するかを観察し、さらに難聴出現以降の飼育環境において難聴周波数帯域の環境音を持続的に暴露することで、周波数マップの変化が抑制できるかどうかの研究を行っている。本年度はフラビン蛋白蛍光法によるマウス聴覚野研究を当教室独自で行うための環境・設備構築を行った。また、フラビン蛋白蛍光法を用いて、通常環境で飼育したマウスの聴覚野周波数マップのデータを蓄積している。C57BL/6マウスは加齢性難聴モデルマウスであるが、これまでは難聴形成前の5~8週齢を使って計測していた。12週齢以降の難聴出現後の高齢マウスにおける聴覚野マップ、特に高周波数帯域のマップが若齢マウスと比べてどのような変化を生じるか確認するための基礎データを複数の週齢で蓄積している。加齢性難聴は高周波数帯域から進行するので、それに伴い低周波数帯域のマップが高周波数帯域に拡大することが予想されるため、5kHz、10kHz刺激時の反応領域の1/2ピーク強度の面積を計測し若齢マウスと比較している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、新潟大学脳研究所システム脳生理学教室の実験システムを共同利用して実験を遂行する予定であったが、当教室独自の実験室・実験機器を有することが可能となったため、新規に計測機器の購入、設置、運用準備を行う必要があった。当初その準備に時間を要したが現在は測定環境が整い正常マウスの聴覚野のイメージングを行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
加齢性難聴モデルマウスの通常飼育での基本データが得られたら、飼育環境に高周波数帯域の環境音負荷を行ったマウスでの周波数マップ計測を行う。また、若齢マウスに音響外傷マウスを作製し、その周波数マップの計測および音響外傷後に環境音負荷を行った場合の周波数マップ変化の抑制について探る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
飼育環境における音負荷を行うため、飼育用の防音箱を購入し、スピーカーシステム、刺激音作成のためのシステムを構築する。また、動物の購入費、薬物購入費、学会参加費として使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)