2011 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉移行は側頭骨原発扁平上皮癌の予後を決定するか
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23791884
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉本 寿史 金沢大学, 医学系, 助教 (20547179)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 上皮間葉移行 |
Research Abstract |
側頭骨原発扁平上皮癌の手術標本において、上皮間葉移行が誘導される機構について解析した。本年度は側頭骨原発扁平上皮癌の新鮮凍結切片を用い、DNAマイクロアレイを用いて網羅的に側頭骨原発扁平上皮癌患者の上皮間葉移行およびその関連因子の遺伝子発現を解析する準備を行った。また、 TGFβ、Snail、TWISTと上皮間葉移行のマーカーであるビメンチンとを二重免疫染色にて解析し、それぞれの局在について解析した。そしてTGFβとビメンチンが、同じ側頭骨内扁平上皮癌組織の切片において同一部位に局在していることを明らかにした。この結果は上皮間葉移行が起きている細胞がTGFβを自己産生し、それによりさらに上皮間葉移行を促進させている可能性を示すものである。 TGFβ、SnailおよびTWISTの発現と予後について解析した。ビメンチンと予後について解析をおこない、統計的には相関がみられないという結果を得ている。TGFβ、SnailおよびTWISTと予後の相関関係について解析したが、こちらも相関関係がみられていない。これらの結果はそれぞれ単独の因子では側頭骨原発扁平上皮癌の予後を左右せず、他の因子を介して間接的に影響を及ぼしている可能性があることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAマイクロアレイを用いて網羅的に側頭骨原発扁平上皮癌患者の上皮間葉移行およびその関連因子の遺伝子発現を解析する準備を行うことができた。またTGFβ、SnailおよびTWISTの発現と予後については解析がすすんだ。以上から、研究実施計画どおりとはいえないが、おおむね研究実績を残せているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も予定通り研究をすすめる。24年度には、上皮間葉移行が発現していてかつ骨浸潤巣を含む組織切片を抽出し、TGFβとRANK/RANKLとの関連について解析する。 25年度には扁平上皮がん細胞が骨細胞におよぼす影響について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は当該研究費により、研究のための物品の購入や結果発表のための旅行が可能となり、結果的に研究が進んだ。次年度以降も物品や研究成果発表のための旅費が必要であり、予定通りの研究費を要する見込みである。
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