2012 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉移行は側頭骨原発扁平上皮癌の予後を決定するか
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23791884
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉本 寿史 金沢大学, 医学系, 助教 (20547179)
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Keywords | 扁平上皮癌 / RANK/RANKL / TGFβ |
Research Abstract |
側頭骨原発扁平上皮癌における骨浸潤のメカニズムについて解析した。癌細胞はさまざまなサイトカインを産生することにより骨髄に常在する細胞の分化や機能に影響を及ぼす。そのなかにはTGFβも含まれるが、これらの因子は破骨細胞に直接作用するのではなく、まず骨芽細胞、骨髄ストローマ細胞に作用してRANKL(receptor activator of NF-κB ligand)産生を促進し、間接的に破骨細胞の分化、機能に影響することがわかっている。 平成24年度は、 EMTが発現していて、かつ骨浸潤巣を含む組織切片を抽出し、TGFβとRANKおよびRANKLとの関連について解析した。 (1) 扁平上皮癌の骨浸潤巣を含む組織の新鮮凍結切片を材料に、網羅的にRANKおよびRANKLおよびその関連因子の遺伝子発現を解析した。RANKおよびRANKLが遺伝子発現しているかどうか確認した。確認後RANKおよびRANKLの発現パターンがTGFβと相関するかどうかを解析した。 (2) 側頭骨原発扁平上皮癌の骨浸潤巣を含む手術標本を用いてRANKおよびRANKL の発現を免疫組織学的に解析した。RANK、RANKL、OPGの発現パターンがTGFβと相関するかどうかを解析した。また、(1)にて解析した遺伝子発現の結果と比較検討した。 (3) RANKおよびRANKLの発現と予後について解析した。 次に術前診断にて同病期の患者を2症例抽出し、EMTが起こっている症例と起こっていない症例に分類し、それぞれの予後について解析した。CT所見をもとに病期分類しその予後をレトロスペクティブに解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りRANK/RANKL/OPGの側頭骨扁平上皮癌における骨浸潤への関与について解析することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も予定通り研究をすすめる。25年度には扁平上皮がん細胞が骨細胞におよぼす影響について解析する。 (1) 骨由来細胞株(A)、軟骨由来細胞株(B)、線維芽細胞由来細胞株(C)、正常上皮由来細胞株(D)、皮膚扁平上皮がん由来細胞株(E)を用い、A,B,CとD,Eの2群にわける。A,B,Cのうち一つの細胞株とD,Eののうちの一つの細胞株をそれぞれ共培養し、その変化を検討する。検討内容としては、1、形態学的変化、2,遊走能、3,TGFβの自己産生能、4,TGFβの添加による1~2の変化 5,Snail,Twist,RANK/RANKLの変化である。そして、このデータを臨床的データとの相関を統計学的に解析する。 (2) a.皮膚扁平上皮がん由来細胞株をヌードマウスの1.皮下 2.外耳道(骨直上) 3.耳介(軟骨上)に移植し、移植部位による違いを確認する。外耳道(骨直上)に移植したものでEMTを認めるものでは骨浸潤がすすむことが予想される。b.皮膚扁平上皮がん由来細胞株にTGFβ、Snail,Twistの発現ベクターを遺伝子導入したのち1.皮下 2.外耳道(骨直上) 3.耳介(軟骨上)に移植し、EMTの発現および骨浸潤について解析する。aと比較し、骨浸潤の速度および範囲に違いができるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度も研究をすすめるため、予定通り研究費を要する見込みである。具体的には、細胞株の購入、ヌードマウスの購入、各抗体などを購入する予定である。またその結果を学会などで発表するための旅費が必要となる見込みである。 繰越金発生理由:効率的な予算執行により端数が生じたため。
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