2011 Fiscal Year Research-status Report
メニエール病(内リンパ水腫)の質量分析イメージングを用いた解析
Project/Area Number |
23791890
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉山 健一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (50402334)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 質量分析イメージング / メニエール病 / めまい / 内リンパ嚢 / 前庭 |
Research Abstract |
質量分析イメージングを用いてメニエール病の発症メカニズムの解明を目的としたバイオマーカーの探索を目的とした。内リンパ水腫の解析に向けて、ラットを用いて正常な内リンパ嚢の質量分析イメージングによる解析をおこなった。内リンパ嚢に含まれる生体分子は、解析を行った質量(分子量)600~1000の範囲では明らかなものは検出されなかった。そのため、マトリックスを変更し、測定方法にも工夫を加えたところ、細胞の活動に必要なエネルギー源として知られているATP(アデノシン三リン酸)の代謝産物である、ADP(アデノシン二リン酸)、AMP(アデノシン一リン酸)の検出に成功した。現在、この結果の再確認と、蝸牛など他の内耳での検出をすすめ、その生物学的意義の検討をすすめている。また効率よく網羅的な生体分子の検出をめざし、測定条件の検討も行っていく予定である。メニエール病の主要な症状のひとつにめまいがある。内耳の特に前庭は身体の平衡機能をつかさどる感覚器官であり、質量分析イメージングを用いて前庭の解析を行った。前庭には、直線加速度や重力を感知する耳石器と、回転加速度を感知する半規管が存在する。この耳石器と半規管膨大部に存在する膨大部稜の感覚上皮に局在するリン脂質を明らかにした。今後は、さらに効率よく生体分子をイオン化する条件を検討し、候補となる生体分子を増やし、構造解析につなげていく予定である。これまでに、このような内リンパ嚢や前庭の質量分析イメージングによる解析の報告はなく、正常な動物の内リンパ嚢や前庭を解析することは、メニエール病の原因と考えられている内リンパ水腫のモデル動物の解析のために重要なものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内リンパ嚢における生体分子の測定はすすんではいるが、今後はさらに効率よく網羅的に検出できる条件の検討が必要である。メニエール病の主な症状にめまいがあり、耳石器や膨大部稜を含む前庭が解析可能であった点は意義深く、今後の内リンパ水腫モデルの解析につながっていくと考えている。内リンパ水腫モデル作成がまだ達成されていないため、今年度は内リンパ嚢や前庭の解析と並行して行っていく
|
Strategy for Future Research Activity |
生体分子の効率のよい、網羅的な検出のための条件検討を引き続き行っていく。生体分子のイオン化のための補助剤には、2.5ジヒドロキシ安息香酸Na以外にも多くの種類が存在しこれらを用いて検討していく予定である。また、内リンパ水腫モデルの作成も、過去の報告では必ずしも高い確率で水腫が作成されるとは限らず、これも今後の課題となる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験と飼育のための費用。実験では拡大鏡を用いた解剖が必要でそのためのルーペを含めた機器を購入する予定である。その他消耗品と、前庭の解析結果の学会報告や論文作成のための費用として研究費を使用していく計画である。
|
Research Products
(2 results)